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捕獲されました。年貢の納め時というやつ。
2011年12月02日 (金) | 編集 |
心霊スポットの探索は疲れる。

車で長距離を移動することからくる身体の疲れと、幽霊が出るかもしれない恐怖や、ヤンキーや警察に遭遇するかもしれない緊張からくる気疲れ。

いつしか、帰り際にファミリーレストランに入って、ケーキと紅茶を楽しみながら一休みするのが、習慣になった。

入る店は決まっている。私の家の近く、国道沿いにある某ファミレス。決して交通量がすくない道ではないのだが、いつも客がいない。もっとも、探索の後だから、店に入るのは夜中。場合によっては明け方が近い。時刻のせいもあるだろう。

その日は、いつにもまして客がおらず、私と染井の二人だけの様子だった。

注文をすませて、ほっと一息ついた。身体の芯が重い。あーあ、今日も疲れたな。どういう文章を書こうか。

そんなことをぼんやり考えていると、どこからか声が聞こえることに気がついた。

男女の会話のようだ。なにかボソボソと喋っている。

はて、客がいたのか。まわりを見回すが、誰もいない。やはり、客は私たちだけ。キッチンにいる店員の会話が聞こえてくるのだろうかと思ったが、店員の声でもないようだった。

なにより、方向がまったく違う。キッチンは私の左方向。会話は正面から聞こえてくる。私と染井はテーブルをはさんで向かい合って座っており、染井の背後から声がしている。

そこは店の角にある席であり、誰も座っていない。

変だなあ。声の聞こえる方向をいろいろ探ったが、やっぱり、角の席からだ。

せめて、何を喋っているのか聞いてやろうと集中したが、さっぱり分からない。男女が会話をささやきあっている風なのは、たしかなのだが、意味のある単語が一つも聞きとれない。

実に不思議だ。方向は分かるのに、声の距離がはっきりしない。遠いような気もするし、すぐ近くにいる気もする。くぐもった感じというか、性能の悪いラジオを小さめの音量で聴いたら、こんな風になるかなと思う。

普段なら、気のせいですませてしまうところだが、心霊スポットを探索した帰りだ。自然と嫌な想像をしてしまう。連れてきちゃったかな。あああ、いやだな。どうしようかな。と、思った瞬間だった。

テーブルの向かいで、神妙な表情で押し黙っていた染井が、いきなり後ろを振り向いた。しばらく、そのままの姿勢でいたかと思うと、

「後ろに、男と女がいますよね」

と言う。

ゾッと全身が総毛だった。

嫌なことを言うのも悪いと思い、声のことは一言も触れなかったのだが、染井にも聞こえていたのだった。

その後、ケーキと紅茶を楽しみながら他愛のない話をしながらも、会話が途切れるたびに、二人してなんとなく不思議な声を探ってしまい、気分が沈んだ。

トイレに立ったときに店内を歩いてみたが、客は完全に私たちだけ。他の場所では、あの声は聞こえなかった。結局、私たちが店にいた一時間の間、ずっと変わらないボリュームと位置で、妙な話し声はボソボソと聞こえていた。

家にまで着いてくると嫌だなと心配していたが、二人とも、とくに妙な現象に出会うことはなかった。

その後、このファミレスには何度も立ち寄って、同じ席に座っているが、あの会話が聞こえてきたことは一度もない。声の正体が何かは、分からないままだ。

稲川淳二の怖いビデオを見ていたとき、──福岡・犬鳴峠からの現地レポートの最中だったと思うが──幽霊の声の話がでてきた。稲川淳二がスタッフに、

「そう、声は聞こえるでしょ。でも話の中身が分からない。ざわざわ聞こえるけど、何を言ってるのかが分からないんだよね。そうそう、そうなんだよ」

と言っているのを聞いて、この時の体験を思い出して、またゾッとした。

思い返すと、千葉市の某所にある白幡神社を探索したときに、まっ暗な竹やぶの中から聞こえてきた声も、この時の感じに似ていたような気がする。といって、どちらの体験とも、幽霊の声だったと断定するつもりはない。

どなたか、似たような体験──奇妙な会話らしき音を聞いたというような──お持ちの方は、いないだろうか。
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