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捕獲されました。年貢の納め時というやつ。
2011年11月22日 (火) | 編集 |
引き続き、Kから聞いた話。

Kの写真仲間にAという男がいる。Aは、プロのカメラマンCさんの助手をしていた。機材を運んだり、撮影の準備をするアルバイトだ。

ある日、写真撮影の依頼が入り、CさんはAを伴って出かけた。現場に着いてみると、大きな屋敷を構えた農家である。相当な旧家だ。そこでは法事が営まれていた。

このような旧家になると、一族はかなりの人数になる。法事や結婚式など、特別な機会でないと親戚中が集まることは難しい。良い機会なので、記念写真を撮ろうというものらしかった。

準備が整い、一同に集合してもらった。

「はーい、撮ります」

カシャッ、とシャッターが下りた。

ところが、フィルムを巻き上げない。自動式だから、シャッターが下りると巻き上げ音がするはずなのに作動していない。カメラが壊れてしまった。原因は分からない。

別のカメラを用意して写した。そのカメラも同じ症状になった。シャッターは下りているはずなのに、巻き上げをしない。故障してしまうのだ。

Aは、

(珍しいことがあるものだ)

と、おもった。カメラが連続して壊れるなど、そうあることではない。

Cさんは何食わぬ顔で、

「申し訳ありません。どうも、この場所は光線の具合が良くないようです。あちらに移動していただけませんか」

と、一同を別の場所に移動させ、最後のカメラで撮影を行った。今度は何の問題もなく、撮影は終了した。

店に戻り、片づけをしながらAは、

「あれ、なんだったんですかね」

と、聞くとはなしに聞いてみた。Cさんは、少し考えていた後、こう答えたという。

「A君は、怖いの大丈夫か」

「はあ。ええ……まあ」

「君にまかせるから、あのフィルム現像してごらん」

どういうことか分からないながらも、Aは言われるまま暗室に入り、現像作業を始めた。問題のコマが出てきた。コマ全体に白い靄のようなものがかかっている。これは、なんだろう。

印画紙に画像を定着させる。すると……。

「おおおおっ」

Aは、うめいてしまった。

親戚一同が並んでいる。そこに覆い被さるように、白っぽく半透明の巨大な男の顔が写り込んでいる。新しいフィルムを使っている。こんな構図の写真は撮っていない。写っているはずがなかった。

「先生、これ……」

写真をCさんに見せると、Cさんは、やっぱりという表情で溜息をついた。何が写っているか、見る前から分かっていたようだったという。

写真に写り込んだ男が、何者なのかは分からない。長い歴史のある旧家には、いろいろなことがあっただろう。先祖に不幸な死に方をした人がいたかも知れないし、何か恨まれるようなことをしたかもしれない。それの念が残っていて、親戚一同が集まったこの日、現れたのかも知れないね。

と、この話を私にしてくれたKは言った。

そして、長くカメラマンをやっていると、写してしまった瞬間はなんとなく分かるようになるのだという。Kも、幾度も妙な写真を撮ってしまったことがあるそうだが、その写真を見せてもらう前に疎遠になってしまった。
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