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捕獲されました。年貢の納め時というやつ。
2011年10月25日 (火) | 編集 |
坂道がある。

若い人でも自転車に乗ったまま上るのは、つらい勾配のうえ、道が狭くて路肩がない。それなのにバスが通るものだから危険で、たいていの人は自転車をおりて押して上ってゆく。

そういう坂道である。

あたくしは、この道を仕事の行き帰りに使う。車通りのすくないときは自転車に乗ったまま、できうるかぎり立ちこぎをせず、さわやかな笑顔でゆくことにしている。

というのは、この道、大学がちかい関係で女子大生が多数、歩いている。さらに、小学校と中学校の通学路でもあり、女子中学生、女子小学生も歩いている。きゃあ、女子の楽園! 高校があればグランドスラムだったが、女子高生だけが少ない。残念だ。

道理をいえば、女子のあるところ、トドのような臭いをはなつ有象無象の男子も低回しているはずだが、あたくしの目には映らない。見ない。存在しない。意志の力というものの強靭さを思うべきであろう。

そんなある日の夕方、仕事帰りのこと。この坂は、あたくしの家からみて行きは下り坂、帰りが上り坂になる。帰り道であるから、きつい上り坂を、ゆっくり自転車をおしていた。

おっさん身体というのは悲しいもので、年ごとに、なけなしの筋肉が脂肪に置き換わってゆく。以前は、たしかに立ちこぎせずに坂を上りきれたものが、このごろはダメ。途中でゼーハーゼーハー、あぶない発作でも起こしたかと間違われそうな呼吸になってしまう。

無理はしないの、ほほほほ。女子も見てないし。ほほほほ。

だが、油断大敵、前から女子中学生がふたり並んで歩いてくるではないか。仲のいい友だちのようで、楽しそうにおしゃべりして、けたけた笑いあっている。

ああん、まだ幼さの残る笑顔が、とっても愛らしいわん。カワイイわん。おじさんも会話に混ぜてくれないかなあ。――などと、うかつに書くと通報されかねないのが、おっさんの哀しみ。ゆえに、ここではあたくしの本心は書かない。ああん、ああん。

眼福にあずかっていたところ、女子の背後に、ご老人がぬっと姿をあらわした。年のころは70あたり。中肉中背、短い白髪、背は女子とさして変わらぬくらい。むろん、男性である。

ご老人は、よほど急いでいるらしく、せわしない足取りで女子中学生ふたりを追い越そうとした……その刹那、視線が横に、ぎょろりと動いた。女子の横顔にくぎづけロックオン。そのまま、首を旋回して彼女たちの前を扼すように回りこんでくる。

ご老人は、まるきり前を見ていないものだから、あたくしの自転車へむかって、下り坂で加速のついた早足のまま直進してくるのである。

ぎゃあ、てめえ爺!

これで、ぶつかろうものなら、「マナーのわるい自転車と、歩行者の接触事故がまた!」などと騒がれ、あたくしが一方的に悪いこととなり、逮捕拘束→犯意否認→勾留延長→金がないからやる気のない国選弁護人がつく→裁判→弁護側の主張はすべて退けられる→死刑求刑→7掛け相場で無期懲役→人生破滅→20年後に出所してウリくんを道連れに自殺……と、転落してゆくのは目に見えている。あたくしは必死に自転車をどかした。ハンドルから数センチのところを、爺がとおりぬけてゆく。

あたし、見たんです! 爺の血走った目を! 確信犯です、疑う余地なく、たまたま追い越すふりをして女子を凝視しようと狙ってる変態老人です!

しかし、このエピソードだけで爺をHENTAIと決めつけるのは乱暴というものだ。女子を前にすると目が血走るから有罪というのでは、おのれもそうであり、目が血走ってる容疑で逮捕→容疑否認→自宅PCからH動画発見される→勾留延長→やる気のない国選弁護人が「勝てる見込みないですねー」などと眠そうに言う→裁判→弁護側の主張はすべて退けられる→死刑求刑→求刑通り死刑と、浮かばれぬ怨霊となりはてるのは目に見えている。

では申し述べる。あたくし、この爺を見たのは、これが初めてではない。

ある朝のこと。坂の途中で、地べたに座りこんでいるご老人がいた。ご老人は、上体を折りまげて苦しそうに喘いでいる。具合がわるいのかしら、大丈夫かしら。心配して近づいた。

だが、様子がちがう。あぐらをかいて本を読んでいる。それが写真集なのは遠目からでもわかったのだが、いや、しかし、まさか、子どもたちの通学路で――

朝っぱらからヌード写真集広げて見てるとは、たいした度胸だな、爺、てめえ!

し・か・も、無修正じゃねえかあああああああ!

爺にカチコミかけるほど度胸のないあたくしは、せいぜい非難の視線をおくるくらいしかできなかったが、無修正写真の「そういう部分」に没入して外界と隔たっている爺には、なんの効果もないのであった。

そのときの爺。まぎれもなく、あの爺。HENTAI確定! 写真集は没収します、責任もって処分しますから!

自分もああならないように気をつけなくっちゃ……。男って、男って……。
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