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捕獲されました。年貢の納め時というやつ。
2010年06月30日 (水) | 編集 |
すっかり書くの遅くなっちゃったのだけど、もんじゃ焼きを食わせる屋形船があるというので、行ってきたぜ。

もんじゃ屋形船

値段は時期によってかわり、この時期の夜便は食べ放題・飲み放題で、おひとりさま4900円。冬の昼便だと3500円前後になるらしい。

屋形船の桟橋は新木場にあり、お台場フジテレビの前あたりの海を遊弋してもどってくる、2時間のコースである。

それなのに、17時出航という中途半端な便を選んでしまった、あたくし。昼便なら400円安い4500円だったし、夜便なら夜景を楽しめたよね。

……ということを、常に、あとから気づくあたくし。

もっとも、メンバーがあたくし、ごんたくん、ウリくんと、艶っぽさのかけらもないトリオ・デ・おっさんなので、屋形船のつもりで乗ったら蟹工船だった、とかの間違いでなければ、どうでもいいっちゃいい。

あたくしは、屋形船初体験。

あたくしが想像する屋形船というと、どっかの商家の旦那が馴染みの芸妓と酒をさしつさされつ、

「ごらんなさいまし。あの桜のきれいなこと」
「おまえさんと見る桜はまた格別だね」
「なにかやりましょうか」
「そうだな、ひとつやってもらおうか」
チン、トン、シャン
「むふ」
「あっ、いけませんわ、そんな」
「むふむふむふむふむふむふむふむふむふ」

そんな感じの、たいへんに偏った情景しか思い浮かばない。湿度の高い淫靡な雰囲気を密かに期待して、こっそりと興奮していた。

そして、おそるべきことに、それがあながち的外れではなかったのは、客がお年頃なカップルばっかりじゃねーーーーーかーーーーー。

なんでも、デートでもんじゃ屋形船を楽しむカップルが多いのだとか。テレビでも紹介されているのだとか。

それなのに、あたくしたちったら、加齢臭漂うくっさいおっさん三人で、こんなとこ来ちゃった。ああんもう、くやちいわ、くやちいわ。

カップルばっかですねーと、ぼやくあたくしにたいして、妻帯者であるごんた君は泰然としたもので、

「こんどは、妻じゃない女性を連れてきたいな」

などと言い出し、ちょっと殺意がわく。

「あなたも、家族のために焼き方をおぼえたほうがいいでしょうから、やらせてあげます。あなたが頑張ったら、評価してあげてもいいです。さあ、あなたのやる気を見せてください。どれくらいうまく焼けるんですかねえ。楽しみですねえ」

バリサルダ直伝の丸投げ口調で、ヘラをごんたくんに押しつけて、もんじゃ焼きの調理を命じることにした。

薄そうな畳敷きに座布団へ腰をおろす。江戸の昔ではないから船頭さんが櫂を漕いで進むようなはずはなく、力強いエンジン駆動である。

それがどうも、あたくしの下にエンジンがあるのか、座布団を通して、おけつに振動がくるの。たいへんに、あやしい気分をおこさせる微妙なバイブレーションがたまらんな、あふんあふん。

と思っているうちに、船が出航。さいしょのうちは埠頭をぬけていくので、水路の幅はせまく、両側に倉庫が建ち並んでいたりして、あまり景色はよくない。

お台場に近づくあたりから、視界が開けてきた。レインボーブリッジである。フジテレビである。なるほど、これはさぞかし夜景はきれいで、彼女を連れてきたらウットリウルウル、屋形船→お泊りなんてコース設定も容易になるものと想像される。キャー、ステキ。

近くには、似たような屋形船が幾艘も停泊しており、マニアなあたくしは「これぞ連合艦隊」などと一人でニヤニヤしていた。

食べ放題、飲み放題だから、くわにゃ損、のまにゃ損と思っているおじさんは、どんどん追加注文をだす。焼き係のごんたくんは、景色をみている余裕などあるまい。ククク。

が、敵もさるもの。ごんた君たら、

「うわー、みてこれ、これじゃ吐瀉物だよね」

と、でっかい声で言い放つ。小動物のように周囲の視線に怯えながら生きているあたくしは、隣席の女性客が、横目でちらりとこっちを見たのに気づいた。

さすがは長岡人。これが常在戦場の心意気というやつであろう。おそれいりましてございます。

鉄板を使える時間が1時間強しかなく、飲み食いに必死になると、わりとあわただしいのだが、せっかくの屋形船でそんな無粋なのはおっさんたちだけで、周囲のカップルは、食べるのもそこそこに景色にみとれ、顔をみあわせて柔らかく笑い、甘い睦事をささやき合っていた。

やだもう、この温度差が、さらに憎いわ。いっそのこと船が転覆しないかしらと、こっそり呪うあたくし。

各人のいろんな思惑を乗せた、もんじゃ屋形船は、二時間の航海を終えて帰港す。

とても楽しい屋形船体験だった。話では、冬の屋形船もいいものらしいので、また行ってみようかと思うの。
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