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捕獲されました。年貢の納め時というやつ。
2010年01月05日 (火) | 編集 |
本をたくさん読むしあわせ。

■生物と無生物のあいだ(福岡伸一/講談社現代新書)

分子生物学のセンセイが書いた本で、帯には「新書大賞 サントリー学芸賞 ダブル受賞!! 60万部突破!」と、大きく謳われている。

生命とは何か? それは自己複製を行うシステムである。そして、もう一つが「動的平衡」だという。

生命は、機械のようにあるパーツを壊したら即故障が現れるというものではない。遺伝子の一部に不具合や欠損があっても、それを別のなにかがカバーして、一見すると何の障害もないかのように生きていく場合がある。いったい何が起きているのだろう。

機械と生命の大きな違いは、そういう柔らかさ。それこそが、命の本質なのではないか、という本。

とても面白いのだけど、やや構成が悪い。「おお、それでそれでっ?」と前のめりになって、続きを期待したところで章が切れる。次章、話が違うところに転じてしまって、せっかくの思考の流れが中断されることが多い。もともと、連載の文章をまとめた本らしいから、仕方ないところなのかな。

福岡センセイの思い出話が半分、生物学の表面をやわやわと撫で回す内容が半分。門外漢の一般人向けに、生物学への興味の入り口になるように書かれた、柔らかい本。読みやすくて、いいんじゃないかしら。


■老師と少年(南直哉/新潮文庫)

禅僧の南直哉が書いた物語。

迷える弟子が、師のもとに救いを求めて説教を聞きに行く。ぼくは苦しい! ぼくは悩んでいる! ぼくはどうしたらいいのでしょうか!


少年「当たり前の世界には問うてはいけないこと、考えてはいけないことがあるのですか? けれどもぼくみたいに、それがどうしても忘れられず、考えずにいられない者もいるのです」
(中略)
老師「友よ。多くの子供は大人に隠され、問いを忘れて、当たり前の大人になっていく。しかし、数少ない子供は、隠されていることを忘れない。どちらがよいのか、正しいのか、私は知らない。ただ、忘れられない者は考え続ける。苦しむ。だが、そうする他はない。それは彼の運命だ。そして君の運命だ」
「なぜです。みんなが考えるべきこと、考えなくてはいけないことではないのですか?」
「そうではない。考えてしまう人と、考えなくてもすむ人がいるだけだ。そして、考えなくてもすむ人が、世の中の仕組みを決めていく。その世の中で、考えてしまう人は迷い、遅れ、損をする」
「ああ、それはあまりに不公平だ」
「そうだ。しかし友よ。考えなくてすむ人も、いつか考えるときがくるかもしれない。隠されていた問いが現れ、忘れていた問いを思い出すかもしれない」
「師よ。それはいつですか」
「大人であることに疲れるときもある。偶然が身の回りのすべてを壊していくこともある。日々、我々は病み、老いていく。そして誰もが、人はただひとりで死んでいくことに気づくのだ」
「考えていた人が報われるのですね? 救われるのですね?」
「いや。何も報われない。何も救われない。ただし、大人たちは、それまで考えなかった人たちは、君たちがこの世に存在し、考え続けてきたことの意味を理解するだろう」
「師よ。ぼくは考え続けていいのでしょうか。考え続けた方がいいのでしょうか」
「友よ。それは君が決めることだ」


眠りに落ちる間際、嫌な思い出が次々に蘇ってきて、

「うわああああ、死にたい死にたい、あれも失敗したこれも失敗したいろいろ失敗した、おれはどうしてこうなんだ、死にたい死にたい死にたいうわああああ」

と悶えて呻くのが日課になっている人は、枕元に置いておきたくなる本だと思うの。あたくしのことであるが。へへっ。


■用心棒日月抄(藤沢周平/新潮文庫)

自分の歴史小説、時代小説への愛着は、いったいなんだろう。と思いつつ、司馬遼太郎と藤沢周平が好き。単純に、心がおっさんだということなのかしら。むきー、ほっとけ。

藩の陰謀に巻き込まれ、出奔せざるを得なくなった男。江戸で、その日暮らしを送っている。

口入れ屋(今でいう人材派遣業)に仕事をもらいに行く。武士らしく剣の腕を生かした、用心棒の仕事がありがたい。しかし、よい仕事が入らなければ、身体にきつい荷物運びの人足仕事もしなければならない。暮らしは楽ではない。

しかし、男はただの浪人ではない。藩の重大な秘密を握っている。藩は男を抹殺しようと、刺客を江戸まで送ってくる。ひとときも気を抜くことはできないのだ。

時は元禄。五代将軍綱吉の治世。男の周囲に、赤穂浪士の討ち入りがからんできて、織りなすドラマ。

男も赤穂浪士たちも、あがらえない何か大きくて重いものに押し流されて、自ら望んだわけではないのに、ある方向に向かって生きていく。せめて、その時によいと思える選択を小さく積み重ねていくしかないではないか。

赤穂浪士たちは、見事に吉良を討ち果たして本懐を遂げた。

次々と現れる刺客を辛うじて返り討ちにして、なんとか命をつないでいた男も、藩から呼び出されて帰参がかなうのだが……。結末は書けねえ! 自分で読め!(横暴)
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