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捕獲されました。年貢の納め時というやつ。
2009年01月29日 (木) | 編集 |
■石黒耀 死都日本(講談社文庫)

たまたまこの数千年間、人類はこのクラスの巨大噴火を経験していないので、
(火山噴火より地震の方が怖い)
と誤解している人が多い。だが、地震規模に上限があるのに対して噴火規模には事実上限界が無く、たとえば古生代末期の火山噴火は生物の九十五パーセントを絶滅させるに至った。


西暦20XX年。

鹿児島と宮崎の県境にある霧島山系で不穏な動きがある。噴火が近い。それも、並みの噴火ではなく、地球規模での悪影響をもたらす、破局的噴火だ。

この情報を知るのは、政府中枢の、ごく一部の者のみ。

日本はどうなるのだ? 有効な対策はないのか? 日本を救うことはできないか?

必死で対策が練られますが、打つ手はあまりありません。このクラスの災害が起こると、自然を封じ込めることなどできません。人間にできることは、ただ一つ。ひたすら逃げることだけ。

しかし、日本全土の壊滅すら予期される噴火災害で、住民をどこに避難させればいいというのか。その時間はあるのか……?

噴火は止められない。日本の壊滅も不可避だ。だからといって、何もせずに手をこまねいていることはできない。とある作戦が秘密裏にスタートします。

迫り来る破局を知る者には、耐え難い緊張の時がすぎ、ついに噴火が始まりました。

噴火から一時間たらずで、南九州は全滅。文字通りに、ほとんどの人間が死滅します。噴火から二十四時間の時点での推定死亡者は三五〇万人以上。

普通の噴火だと思っていた、遠隔地に住まう人々は、聞いたこともない規模の死傷者数に仰天。やがて、中国・四国地方、近畿、東海と、分厚い灰雲に覆われて通信が途絶する都市が増えていきます。

破滅に直面して、ようやく日本人は、自分たちがどういう国土に住んでいるのかを思い知ったのでした。

日本は、日本人は、このまま消え去ってしまうのか──


この小説はすごい。文庫本で600ページある、少し厚めの分量ですが、一気に読み通してしまいました。

本職の火山学者も絶賛したというほど、最新の火山学の知見が盛り込まれ、火砕流、サージ、ラハールと、耳にしたことはあるものの、正確に理解できていなかった現象を、総ざらえで知ることができます。

実際、インターネットで、「破局的噴火」で検索すると、この本を題材にした、本職の火山学者のホームページがいくつも見つかり、影響の大きさが窺い知れます。

本物の知識に導いてくれるきっかけの役割を果たす、エンターテイメントとして、質のいい小説だと言えると思います。

ぜひ、途中でやめることのできないドキドキ感を味わってみてください。富士山噴火もささやかれている、この頃ですから……。
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コメント
この記事へのコメント
うふふ、まいどどうも!

ラストが、ちょっと希望を持たせすぎにも感じられましたが、十分楽しめると思います。

現実の日本政府だったら、踏みとどまるどころか、グダグダで崩壊しそうだなあと感じさせる、悲哀もあったりして。笑
2009/02/02(月) 22:08:44 | URL | たれぞう #/blqkyuM[ 編集]
最近コレという本にめぐり合えなかったので、
期待して購入しますぜ!

楽しみ~
2009/02/01(日) 00:19:47 | URL | tan-go #-[ 編集]
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