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捕獲されました。年貢の納め時というやつ。
2020年05月16日 (土) | 編集 |
「まあいちおう、相談があるんですけど」

「どうした?」

「わたしの学校に、蟹久さんて人がいるんですよ」

「はあ」

「で、蟹久さんと気まずくなったんですよ」

「ほう」

「まあなんつったらいいんでしょ、この前、眠くてたまらない日があったんですよ。で、昼休みに教室の自分の席で寝てたんですよ。で、蟹久さんが背中にのしかかってきて、『なに寝てるんだよ』とか言うんですよ」

「はあ」

「で、むかついてむかついて殺しやりたくなったんですよ。で、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ねえええええって、おもいきり怒鳴りつけてやったんですよ」

「はあ」

「そうしたら、蟹久さんは黙って教室から出て行ったんですよ。で、安心して、また眠れたんですよ」

「はあ」

「それから一週間たつんですけど、蟹久さんが口きいてくれないんですよ。無視されてるんですよ。どうしたらいいと思いますか?」

「謝るしかないじゃない」

「いえ、ちがいます。まあなんつったらいいんでしょ、わたしって、寝るのを邪魔されるのが一番嫌いじゃないですか。わたしの親も、わたしに電話がかかってきたからって起こしにきたことがあるんですよ。その時も、むかついてむかついて殺したくなったので、死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねえええええっ! て、ずっと怒鳴ってやったんですよ。で、今では電話がかかってきても絶対にわたしのことを起こさなくなったんですよ」

「それで、きみの親は、ぼくが電話したときもガチャ切りしたのか」

「ええ、そうなんですよ。よく寝られるようになって、とても助かるんですよ。わたしって、これくらい眠りにこだわる男なんですよ」

「はあ」

「ですから、まあいちおう、おかしいのは蟹久さんだと思うんですよ。文句があるんなら面とむかって言うべきじゃないですか。わたしは、眠りを邪魔されるのが異様に嫌いなんですよ。で、邪魔されて我慢できなかったんですよ。で、わたしには、ちゃんとした理由があるじゃないですか。で、話をしてくれれば、ちゃんと説明できるじゃないですか。無視するなんて、おかしいじゃないですか。まあなんつったらいいんでしょ、蟹久さんは幼稚だと思うんですよ」

「はあ」

「ほんとうに困ってるんですよ」

「はあ」

「どうしたらいいですか」

「自分の行動で相手を怒らせたんだから、謝るところから始まるんじゃないの?」

「いえ、ちゃんと理由はあるんだから、わたしは悪くないと思うんですよ」

「理由はどうあれ、謝らないと話が進まないじゃない」

「いえ、わたしは今まで自分から謝ったことってないんですよ」

「へえ、そうなんだ。だったら、もう口きかないままでいいじゃん」

「いえ、そこをなんとかお願いします」

「そのお願いは、ぼくじゃなくて蟹久さんにすべきじゃないの」

「はあ、そうですか。まあ、いちおう謝ってみます。でも、わたしは絶対に悪くないと思うんですよ」

「へえ、そうなんだ」

「まったく蟹久にも困ったもんなんですよ。幼稚な男ばかりで困るんですよ。まあなんつったらいいんでしょ、わたしもいろいろ大変なんですよ、はっきり言って」

「へえ、そうなんだ」
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