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捕獲されました。年貢の納め時というやつ。
2005年03月05日 (土) | 編集 |
「それで、お屋形よ。此度の戦は如何あいなりましょうな」
「うむ、それよ」
 物々しい戦装束に身を固めた筆頭家老ファイヤバードの問いに、マタザはゆっくりと頷いた。
 ファイヤバードは、先代当主の頃よりM*R家に仕えてきた老臣である。この功多きM*R家の重鎮には、マタザも自然と遠慮が働く。
「此度の戦は、ファンダンサー道場に巣食う化け物を退治するに非ず」
「ほう」
「腑抜けのテイマー共に、武士の心意気のなんたるかを知らしめんがための戦である」
「それでは、敵は……」
「そうじゃ。テイマーよ」
「おお」
 ファイアバードは感嘆のうめきを洩らした。
 このところファイヤバードは、奪われたトクノの秘宝を取り戻すべく、野盗の討伐を命ぜられ、各地を転戦していた。最初はほんの片手間仕事のつもりだったのだが、いくら討伐しても終わりが見えてこない。すでにファイヤバードの手許には、60もの秘宝が集まっていた。
「トクノの王族とやらは、一体、どれだけ秘宝を溜め込んでいたのだ」
 うんざりした口調で呟いたファイヤバードは、与力のボーグに、
「なんでも、多い者は500を越える数を回収したとか……」
 と気の遠くなるような数字を持ち出され、苦い顔で沈黙してしまったという。
 気持がくさくさしていたところに、なにやら面白そうな戦が始まるという。ファイヤバードは気持が湧き立つのを押さえきれず、笑みをこぼしながら愛用の緑杖を幾度もしごいてみせた。
「爺よ。それでけではないぞ。此度の出陣、陣立ては『RAU崩し』と致す」
「なんとっ」
 ファイヤバードは大きく目を見開いて、このところめっきり白いものが目立ってきた口ひげを細かく震わせた。
「お屋形よ、それは、それはまことにござるか」
 マタザが大きく頷いてみせると、ファイヤバードは、がばっと両手で顔を覆った。小刻みに震える肩が、感動の大きさを表していた。しばしの沈黙の後、ゆっくりと面を上げたファイヤバードの目は、感涙にうるんで赤く充血し、紅潮して血色の良くなった皮膚は艶を取り戻して、一度に若返ったかのような印象を周囲に与えた。
「RAU崩しとは、やれ嬉しや。お屋形よ、拙者の働きをとくと御覧あれ。見事、華と散ってみせましょうぞ」
「うむ、頼りにしているぞ」
「ははーっ」
 ファイヤバードが平伏すると、居並ぶ重臣達も一斉にそれに倣った。

つづく
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