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捕獲されました。年貢の納め時というやつ。
2012年07月07日 (土) | 編集 |
『一蘭』というラーメン屋を、ご存知であろうか。

内装は一風かわっている。隣の席との間がついたてで仕切られ、正面の厨房を隠すようにのれんがかけられている。注文したラーメンができあがると、「おまたせしました」と、壁越しのくぐもった声とともに、のれんがめくられて丼をもった腕が突きだされてくる。

半個室とでもいったらいいのか、周囲から隔離されたスペースで、味に集中しながらラーメンをいただくシステムだという。

あたくしは、この店が苦手。せまっくるしい席は、刑務所の独房にでも入れられたかのようで、息苦しいったらなく、味なんかさっぱりわかりゃしないぜ。

ラーメンのたべあるきをしていた、10年ほどむかし、ウリくんと連れだって入り、げんなりしてからのち、食べに行っていない。あたくしは、この店を「強制収容所ラーメン」と呼んでいる。

しかし、この店をよく利用する人の話によれば、客の開店が早く、さっとすます忙しい昼食につかうのは便利なのだという。

また、ほかの客の視線を気にしなくてすむことから、女性客にも人気らしい。

「ホントはお腹いっぱい食べたいんだけど、替え玉とかすると、周りのお客さんから、よく食う女だな、なんて思われるんじゃないかしら、やだわやだわ」

「麺をすする口の形みられるの、やだわやだわ」

「隣に座るおっさんが臭かったらやだわ、イケメンばっかりのラーメン屋じゃないと、やだわやだわ」

そんな、やだわやだわ女子が、よく食べに来るのだという。

あたくしは、この話を聞いて、その過剰な自意識に失笑し、

「ラーメン屋にいる女客がどうだろうが、そんなもの、いちいち気にしねーよ。アホか!」

と、ますます、店にたいする反感をつのらせたものであった。

……が、あたくしがまるっと間違っていたことを、ここで告白しておきたい。

やや唐突だが、あたくしの女性の好みは、丸っこい子。芸能人でいうと、ハリセンボンの近藤春菜さんとか、どストライクなの。森三中も、ばっちこーいなの。

とくに、ほほから、あごにかけてのラインが丸い女子は、強くひかれる。そのあたりが、ぴちぴちまるまるぱんぱんしてる丸顔さんが、ちょうラブリィなのである。

食事のとき、そのぷくぷくほっぺが食べ物を含んでふくらみ、むにむにもぐもぐと咀嚼している動きを見せられようものなら、いてもたってもたまらず、自分が泳げないことを忘れて、千葉の海に蘇我のあたりから飛びこみ、20キロほど遠泳して帰ってくるほどに興奮してしまう。

したがって、

「そんなものいちいち気にしねーよ」

と、さきほど書いたけれど、間違いであった。あたくしは飲食店で出会う女子のほっぺを観察していた! ラーメン屋にかぎった話ではなく、ドトール女子も、見ていないフリして、よく見ていた! 見開いた目を、一度もまばたきさせないほどの凝視で、ほっぺを見ていた。

世に言う「邪眼」とは、あのときの、あたくしの視線のことを言うのであろう。うわーん、ごめんなさいごめんなさい。『一蘭』よ、あなたは正しかった。

……そんなことに気づいたのは、あたくしにできた彼女。彼女とごはんを食べているときに、じっと、彼女のほっぺを見つめている自分に気がついたからである。

彼女のほっぺは、あたくしの好みからすると、やや細いものの、女性らしい柔らかい肌理のこまかさが、たいへんに美しいのである。

皆の者、よく聞くがよい。

たいへんに、うるわしいのである。

もう一度いう。よく聞くがよい。

たいへんに、かがやかしいのである。

はじめのころ、あたくしの凝視に彼女はとまどい、

「食べづらいんだけど」

と、はじらう様子であった。が、

「ぼくは、ほっぺマニアなんです。あなたのほっぺが、いとおしいのです」

と告白したところ、しばし考えたのち、

「こうか?」

ほっぺを、ぼくに向けてつきだし、もぐもぐと、ごはんを食べるさまを見せてくれたのであった。

きゃああああああ、ラヴリィィィィィィ。あたくしは鼻血がでるほどに興奮し、いけない宿に無理矢理つれこんで、そのあとは書くことのはばかられる大人の世界。

ぼくはいま、そんな風に生きています。世の中すべてに、ありがとうありがとう。
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