FC2ブログ
捕獲されました。年貢の納め時というやつ。
2011年12月26日 (月) | 編集 |
新潮文庫から、Yonda?くんのマグカップが届きました!

111226_203620.jpg

飾ってながめるだけじゃ、もったいないから、その日の気分で使ってます。ヘビーローテーションです。きゃあ。

これで応募した分は、すべて受けとったぜ。

マグカップは4種類あるのですが、それぞれ、かぶらないように送ってくれたのが嬉しいな。白黒と2種類あったブックカバーも、ちゃんと両方送ってもらえました。これまで、なにを送ったのか記録してるのか、偶然なのか、ともかくありがたいです。

さて、今年のキャンペーンは、こわいYonda?くんにむけて応募マークを集めているところですが、あまり新潮文庫を買っておらず、まだ10枚。100枚まで先が長いぜ……。


*おしらせ*

いんちき小説、更新しました。

今年中に、もう一回、更新したいけど間に合うかしらん。
スポンサーサイト
2011年12月18日 (日) | 編集 |
大和にて所属しているギルドは、ギルドショップの売上を月毎にメンバーに分配してくれる。月によって金額の多寡はあるけれど、おおよそ100万gp前後をいただける。

それを、こつこつと貯めていたあたくしは、ついにレジ120のパワスクを入手したぜ、おらあああ。700万だったぜ、おらああああ。

貧乏人には思いきった買い物である。おかげで、金庫のなかは、すっからかん。もう、しばらく何も買えないの……。

さっそく、白豚の左近さまに投下す。現在のレジ値は、113.6。しばらく使って、スキルをあげるかのう。

完成型は

槍 武士、戦術、レジ(敵によって解剖と入れ替え) 各120
騎士 100
ネクロ 99
盾 85
(アクセで+44)

の予定。

騎士と盾を逆にしたほうがいいのかどうか、でもまあ、面倒だからいいかなー。
2011年12月16日 (金) | 編集 |
すっかり、オカルトブログと化してましたが、これにて転載完了。新しい話を聞くことがあれば、また書いてみたいと思いますが、本人には霊感などないので増えないかも。たぶん。

最近は、たまにUOで遊ぶ以外は、戦車ゲームの「World of Tanks」に夢中で、パンター2を手にいれて乗りまわしてます。はあはあ。

気づけば、5000戦をこえていました。戦績はおおよそ、5000戦で2600勝。勝率約52%というところ。

戦車砲連射してるうちに超ハッピー状態になり、わけのわからん突撃死が多いのが困っちゃうところだけど、物陰にひそんで動かないままかこまれて死ぬとかの、超バリサルダ戦法よりは、はるかにマシだと割りきっております。

バリサルダ戦法とは――サバゲで、茂みのかげで地面に伏せたまま1時間も2時間も、だれも動かない戦法。リーダー染井は、これを「伏兵」と称して、こよなく愛していた。

「伏兵こそ最強なんです」

と、染井は言うのだけど、ぼくらのサバゲは人数の関係で夜中にやることが多く、夏はともかく、真冬の夜など、地面に霜がおりるくらいの氷点下のときでも染井は地べたに寝そべっている。つきあわされるほうは、寒さでやばいくらいに身体がふるえてくる。

「もっと動こうよ。風邪ひいちゃうよ」

みんなは何度も提案したのだけど、

「いえ、動いたら位置がばれて撃たれるじゃないですか。負けてもいいんですか」

と拒絶。

サバゲの負けよりも凍死を選ぶというばかばかしさで、染井は「伏兵バカ」と揶揄される。これを耳にした染井はブチぎれ、声をはりあげ、空にむけて銃を乱射したまま、まるきり身をさらしながら道のど真ん中を歩いてきた。すぐに撃たれて死亡。

「てめえらの言うとおりに動いたら、すぐ死んだじゃねえか。どうだ! 動くより隠れていたほうがいいと分かったか!」

染井は大見得を切るも、

「話がぜんぜん違うだろ、やっぱりバカなのか?」

と返されて、怒りのあまり全身がくがくと痙攣開始。

「伏兵だけの男とまで言われて、サバゲなんかやってられません。分かりました、わたしはもうやめます」

と、チームを解散させた。これが、第一次バリサルダ解散事件である。

……なんて、WOTやっててすら、いやな思い出がふつふつと湧き出てくる人生は、そうとうに呪われていると思うのであります。ああもう、いやんいやん。
2011年12月07日 (水) | 編集 |
Hという男性が、十年近く前に体験した話。

彼女とドライブに出かけた。気持ちのよい快晴。彼女は上機嫌で、Hの他愛ない冗談にも笑い転げてくれる。

ある交叉点にさしかかったところで、信号が黄色から赤に変わった。ゆっくりと車をとめる。

お婆さんが一人、歩道を渡っていく。

(あれ?)

交叉点に近づいているとき、左側の歩道に信号待ちをしている女性が立っているのを見ていた。いつのまにか、その女性がいない。周囲を見回しても、それらしい姿がない。

「いま、そこに女が立ってなかった?」

なんの気なしに彼女に聞いた。ところが、さっきまで笑顔だった彼女は、表情をこわばらせてうつむいており、口を開かない。

「どうしたの?」

「やめて!」

おもわぬ金切り声が返ってきた。普段、こんな声をだす女性ではない。

「青になったよ! 早く出して!」

信号が青に変わっている。早く、早く、と彼女に急き立てられながら、車を発進させた。

彼女はちらちらとサイドミラーに視線を送り、後ろを気にしている様子だったが、ようやくホッとした様子で全身の力を抜いた。

「何かあったの?」

あらためて訊くと、彼女は気がすすまない様子で、こう答えたのである。

彼女も信号待ち風に立っている女を見ていた。とくに気にもとめなかったのだが、よそ見をして視線を外した隙に女が消えた。

驚いて、あちらこちらと女を探すが、いない。隠れられそうな場所もない。よそ見といっても、一秒か二秒。これほど忽然と姿が、かき消えるはずがなかった。

(こわい)

彼女にしてみれば、車がとまった位置の助手席は、女が立っていた場所の目の前。姿の見えない女に、じっと見つめられているような気がする。恐ろしくてたまらない。早く信号が変わってくれないかと、そればかりを願っていたのだという。

「気のせいかもしれないけど……」

とつぶやく彼女に、Hは、どんな服だったか覚えているか訊ねた。

ちゃんと見ていたわけではないけれど、鮮やかな赤い色を着ていた気がする。と、彼女は言う。

そうだ。Hも赤い色が目について女を覚えていたのである。

Hの言葉に、彼女は顔色を曇らせた。だが、二人とも幽霊話は大の苦手。怖いからいいよ、もう忘れよう、移動しただけかもしれないしさ。そんな会話をかわしたのだという。

ところが、Hの周囲におかしな現象が起こるようになった。

Hは、Mという男の友人とハウスシェアで暮らしていた。

交叉点で変な女と出会ってから、しばらくしたある日、同居人のMが、

「どうも、おかしいんだよな」

と言った。家の中で女の気配がするのだという。

寝ていると部屋のふすまが開き、誰かが入ってきた。夢うつつの中で「Hがきた」と、おもった。じっと、Mの顔をのぞきこんでいる気配がする。しばらくしても部屋を出てゆく様子がない。

気味が悪いから「なんか用か」と声をかけようとして目を開いた。

その瞬間、枕元に立って自分を見下ろしている女の顔と、たれ下がる長い髪を見た。驚いて「うお」と、声にならない息を吐き出した。あらためて目を見開いたときには、なにもいなかったのだという。

部屋は明かりを消して真っ暗だったから、見間違いかもしれないし、寝ぼけて夢のつづきを見たのかもしれない。でも見た気がするんだよなあ。Mは、しきりに首をひねる。

「やめてくれよ、気のせいだよ、そんなの」

Hは臆病で、幽霊など大の苦手。懇願するように言ったが、

「実は、一度だけじゃないんだよ、そういうの。お前は何か感じない?」

と訊かれ、腹の底から震えがきた。

また、会社の先輩が遊びに来て酒盛りをし、泊まっていったあくる朝のこと。

まだ早い時間だというのに、先輩に叩き起こされた。先輩は真っ青な顔で、ふるえながら、

「この部屋、普通じゃねえぞ」

と言う。

したたか酔っ払い、いい気分で眠っていた夜中すぎ。眠りが浅くなった。ふっと女の体臭が匂った。

(おや?)

と、おもう間もなく、強烈な金縛りがきた。指一本動かせず、声も出ない。

先輩の身体の真横に人の気配があらわれ、ぐぐっと、のしかかるように体重をあずけて顔をのぞきこんでくる。身体の柔らかな感触が女のものだった。

「うふふふ」

息づかいとともに、かすかな笑い声がした。この家は男所帯。酒の席に女性は呼んでいない。いるはずのない女だった。

(こいつ、やばい!)

先輩は、たまらず心の中で悲鳴をあげた。

(ファッ×・ユー! ファッ×・ユー!)

必死で、お経代わりに叫んだが、女は退散しない。結局、日がのぼって明るくなるまで金縛りはとけず、耳元で「うふふ」と、笑われつづけたのだという。

「お前、この部屋、よく平気だな」

先輩に言われたが、H自身には、さっぱりなにも起こらない。しかし、二人の話を聞いたあとで考えてみると、このごろ妙に物音が耳についていた。

バイク好きのHは、家の外にバイクの部品を積んで置いてある。ある夜、激しい音がしたので見に行ってみると、どういうわけか部品の積み方が変わっていた。

バタバタと人が騒ぐ気配がするときもあった。バイクにイタズラされと困ると、様子を見に行くが誰もいない。気のせいかもしれないが、薄気味が悪い。いやだなあと、おもっていた。

おまけに、この頃から体調を崩すようにもなった。

発熱が幾日も続く。ときには意識朦朧となるほどの高熱で、同居人のMが慌てて病院に担ぎこむことが、たびたびあった。

入院して検査を繰り返しても原因が分からない。退院を許されて帰宅するのだが、しばらくすると、また高熱が出て寝こむ。あまりに続くものだから、担当の医師から、

「エイズじゃないですかね。身に覚えありませんか」

と、耳打ちされた。

会社も休みがちになり、気持ちがくさる。

気晴らしをしようと、体調が落ち着いた時期を見はからい、気心しれた仲間を集めて出かけたツーリングで、Hは大事故を起こしてしまう。

渋滞してる道路だった。ずらりと並んだまま動かない車の横を抜けて進んでいく。

と、Hの目の前でドアが開いた。

ブレーキをかけたが間に合わず、バイクはドアに突っ込んだ。Hの身体は投げ出され、数メートル宙を飛んで、ミサイルのように頭から地面に突きささった。首がゴキゴキゴキと、いやな音をたてたところで、Hの記憶は途絶えた。

目が覚めると病室。

面会謝絶、絶対安静。

死んでいてもおかしくなかったと医師は言った。Hはベンチプレス120kgをあげるほど身体を鍛えることに熱心な男で、分厚い筋肉が首を守ったのだろうという話だった。

身動きができないように身体を固定された状態が続いたが、ようやく面会を許されたとき、まっさに号泣しながら駆けつけたのがHとドライブに出かけた彼女だった。彼女は、二日と間を置かずに病室を訪れ、甲斐甲斐しく世話をしてくれた。

Hは彼女にたいする愛情がつのっていくのを感じていたという。

やがて退院が許されたが、しばらくは、あまり身体を動かさないよう生活することを指示された。

やることがないものだから、自然と、世話をしにくる彼女と愛を交わすようになった。はじめは身体に悪いと怖がる彼女に、

「じゃあ、君がやってくれ」

と、破廉恥な技をいろいろと教えこみ、Hは寝たままの楽な姿勢でたっぷりと快楽を堪能したという。

そんなことを繰り返しているうちに、彼女が妊娠し、結婚。

気がつくと、原因不明だったHの体調不良はすっかり消えており、Hの周囲で起きていた気味の悪い出来事もぴたりと出なくなっている。

さすがのお化けも呆れたのか、負けを認めて帰っていったのだろうか。

「やっぱり愛だよ。愛が一番強いね」

Hは、さわやかに言いはなった。家族は今も幸せに暮らしている。
2011年12月06日 (火) | 編集 |
Mさんという女性が、高校入学を控えた春休みに体験した話だ。

友人二人と、近くの海に出かけた。水はまだ冷たい時期だから海には入らず、おしゃべりをしながら堤防や砂浜を散歩した。

あたりが薄暗くなり始めたころ、見るからに身なりが不潔な中年男性が数人、酒瓶をぶら下げて現れた。海辺で酒盛りをするつもりだろう。

歳若いMさんたちは、からかわれるのも嫌だからと、帰ることにした。

海から少し離れた道を歩いているところで、友人の一人が、

「ねえ、今の人、おじさんたちにからまれたら、あぶないんじゃない?」

と、言いだした。

(今の人?)

誰のことか訊ねると、たった今、目の前を、長い髪で白いワンピースを着た若い女性がすれちがい、海に向かって歩いていったのだという。

Mさんは、そんな女性を見ていない。

ところが、もう一人の友人にも見えていたようで、

「注意してあげよっか」

「そうしようか」

と、言い合っている。

(そんなはずない)

と、Mさんは思った。よそ見をしていたわけでもなく、ぼんやりしていたわけでもない。幅のせまい道で、自分だけが、すれ違う人に気がつかないことなどありえない。

「わたし、そんな人見てないよ」

Mさんは言ったが、二人は、女性がヒールを履いていたことまで覚えていた。この先は、砂浜だというのに、ヒール?

「おかしいよ、その人、変だよ。ほっといて帰ろう」

Mさんは懸命に訴えたが、はっきり女性の姿を見たと信じている二人は、とりあってくれなかった。親切心を起こして、女の人に声をかけに海の方に走っていく。

Mさんは、ついていかずに、その場に留まって二人が帰ってくるのを待っていた。

しばらくして戻ってきた二人は、

「おかしいな、どこにもいなかった」

と言い、何度も首をかしげている。

女性とすれ違ってから、ほんのニ、三分で、元気盛りの中学生が走って追いかけたのに、姿が見えない。姿を隠すような場所は、どこにもない。

(その女性は、やっぱり……)

あらためて怖くなったMさんは、二人を促して、急いで家路を辿ったのだという。
2011年12月05日 (月) | 編集 |
小六時の担任T先生は、よくお化けを見る人だった。

その日、T先生は、児童が帰ったあとも教室で仕事をしていた。一段落つき、時計に目をやると、かなり遅い時刻になっている。

(そろそろ帰ろうか)

職員室にもどろうと、荷物をまとめ、小脇にかかえて歩き出した。

教室と職員室は、別の校舎にあった。渡り廊下を歩いて、職員室のある校舎へ入ろうとした手前で、なんともいえない嫌な気配に足を止めた。

首のうしろをチリチリ刺激される感じ。今まで、この感覚がくる時には幽霊を見てしまうことが多かったから、T先生は自然に身構えた。

校舎の間に給食室がある。どうも、給食室のほうから気配がするようだ。

給食の職員は全員帰っており、誰もいない。まだ帰らない子供が遊んでいるのだろうか。とうに下校時刻は過ぎている。もし、子供がいるようなら帰るように言わなければならない。

T先生は、気が進まないながらも確認することにした。

渡り廊下を外れて、給食室に歩いていく。給食室の扉は、きちんと鍵がかかっている。耳をすましても、声も物音も聞こえない。気のせいだろうか。念のため、給食室の裏側も覗いてみることにした。

(あっ)

T先生は息をのんだ。

人の形をした、かげろうのような薄い影が立っている。目の錯覚かと疑ったが、確かに人影だった。

影は、T先生の見ている前を、右から左へとゆっくりと移動していく。

逃げようという心はあるものの、つい、目がモノの動きを追ってしまう。

こちらに向かってくるでも、消えてしまうでもない。今度は左から右へ。また右から左へ。どうやら、ある範囲を行ったり来たりしているらしい。

やがてT先生は、人影がまっすぐ立っているのではなく、中腰で頭を下げているように見えることに気がついた。落し物を探すかのように、地面を気にしているような感じ。

T先生は、

(さがしもの?)

という連想を得て、あることを思い出した。ハッと我に返ると同時に、強烈な悪寒が背筋をゾクゾクと走りぬける。

(このまま見ていてはいけない)

慌てて視線をそらし、職員室に逃げこんだという。

この出来事のすこし前、小学校の前を走る県道で、夜中に交通事故が起きていた。

大昔の街道が元になっている道路で、狭くて曲がりくねっている。道が急角度にカーブする、ちょうど角の位置に学校が建っているため、バイクや車が、学校の壁に激突する事故が頻繁に起きていた。

そのときの事故では、バイクに乗った若い男が、かなりのスピードでカーブに進入して、曲がりきれずに電柱に激突した。

遺体は、ぐしゃぐしゃに潰れた無残な状態だったというが、とくに頭部は、まともに電柱に衝突したせいで、細かい肉片となって砕け散り、一部は、小学校の敷地内にまで飛びこんだ。その場所が、ちょうど給食室の裏手のあたり。

遺体は、児童が登校してくるまでに片付けられたが、警察がいくら探しても、ついに右の眼球だけが見つからなかったそうだ。

人影は、無くした右目を探していたのかもしれないね。と、T先生は言った。

あれから、かなりの時がすぎた。

ときおり、その男性は右目を見つけることができたのだろうか、諦めて探すのをやめただろうか、それとも未だに探し続けているのだろうかと、懐かしさとともに思い出すことがある。
2011年12月02日 (金) | 編集 |
心霊スポットの探索は疲れる。

車で長距離を移動することからくる身体の疲れと、幽霊が出るかもしれない恐怖や、ヤンキーや警察に遭遇するかもしれない緊張からくる気疲れ。

いつしか、帰り際にファミリーレストランに入って、ケーキと紅茶を楽しみながら一休みするのが、習慣になった。

入る店は決まっている。私の家の近く、国道沿いにある某ファミレス。決して交通量がすくない道ではないのだが、いつも客がいない。もっとも、探索の後だから、店に入るのは夜中。場合によっては明け方が近い。時刻のせいもあるだろう。

その日は、いつにもまして客がおらず、私と染井の二人だけの様子だった。

注文をすませて、ほっと一息ついた。身体の芯が重い。あーあ、今日も疲れたな。どういう文章を書こうか。

そんなことをぼんやり考えていると、どこからか声が聞こえることに気がついた。

男女の会話のようだ。なにかボソボソと喋っている。

はて、客がいたのか。まわりを見回すが、誰もいない。やはり、客は私たちだけ。キッチンにいる店員の会話が聞こえてくるのだろうかと思ったが、店員の声でもないようだった。

なにより、方向がまったく違う。キッチンは私の左方向。会話は正面から聞こえてくる。私と染井はテーブルをはさんで向かい合って座っており、染井の背後から声がしている。

そこは店の角にある席であり、誰も座っていない。

変だなあ。声の聞こえる方向をいろいろ探ったが、やっぱり、角の席からだ。

せめて、何を喋っているのか聞いてやろうと集中したが、さっぱり分からない。男女が会話をささやきあっている風なのは、たしかなのだが、意味のある単語が一つも聞きとれない。

実に不思議だ。方向は分かるのに、声の距離がはっきりしない。遠いような気もするし、すぐ近くにいる気もする。くぐもった感じというか、性能の悪いラジオを小さめの音量で聴いたら、こんな風になるかなと思う。

普段なら、気のせいですませてしまうところだが、心霊スポットを探索した帰りだ。自然と嫌な想像をしてしまう。連れてきちゃったかな。あああ、いやだな。どうしようかな。と、思った瞬間だった。

テーブルの向かいで、神妙な表情で押し黙っていた染井が、いきなり後ろを振り向いた。しばらく、そのままの姿勢でいたかと思うと、

「後ろに、男と女がいますよね」

と言う。

ゾッと全身が総毛だった。

嫌なことを言うのも悪いと思い、声のことは一言も触れなかったのだが、染井にも聞こえていたのだった。

その後、ケーキと紅茶を楽しみながら他愛のない話をしながらも、会話が途切れるたびに、二人してなんとなく不思議な声を探ってしまい、気分が沈んだ。

トイレに立ったときに店内を歩いてみたが、客は完全に私たちだけ。他の場所では、あの声は聞こえなかった。結局、私たちが店にいた一時間の間、ずっと変わらないボリュームと位置で、妙な話し声はボソボソと聞こえていた。

家にまで着いてくると嫌だなと心配していたが、二人とも、とくに妙な現象に出会うことはなかった。

その後、このファミレスには何度も立ち寄って、同じ席に座っているが、あの会話が聞こえてきたことは一度もない。声の正体が何かは、分からないままだ。

稲川淳二の怖いビデオを見ていたとき、──福岡・犬鳴峠からの現地レポートの最中だったと思うが──幽霊の声の話がでてきた。稲川淳二がスタッフに、

「そう、声は聞こえるでしょ。でも話の中身が分からない。ざわざわ聞こえるけど、何を言ってるのかが分からないんだよね。そうそう、そうなんだよ」

と言っているのを聞いて、この時の体験を思い出して、またゾッとした。

思い返すと、千葉市の某所にある白幡神社を探索したときに、まっ暗な竹やぶの中から聞こえてきた声も、この時の感じに似ていたような気がする。といって、どちらの体験とも、幽霊の声だったと断定するつもりはない。

どなたか、似たような体験──奇妙な会話らしき音を聞いたというような──お持ちの方は、いないだろうか。
2011年12月02日 (金) | 編集 |
「10.もう寝ちゃうの?」に登場した、同居人のAの話。

彼は両親を早い時期に亡くしている。

ずっと、お兄さんと二人で暮らしていたのだが、お兄さんが結婚することになり、どこかに部屋を探さすことになった。

時期を同じくして、私は、稲西という男と同居を始めていた。借りたのは三部屋ある平屋。ひとつ部屋があまるが、三畳しかない狭さだから物置にでもするつもりでいた。

そこに、余っていることを聞きつけたAが、狭くてもいいから貸してくれと転がり込んで来た。こうして三人の共同生活が始まった。

Aは、霊感があるというほどではないが、たまに怪しい気配のようなものを感じることがあるらしい。こわい話は喜んで聞いていたが、心霊スポットへ行く誘いは、頑として拒否するのだった。

必ず嫌なことが起こるから、と。何か体験があるのかと訊ねたところ、聞かせてくれたのがこの話だ。

それは、Aがつい最近まで住んでいたマンション。

入ったはじめから、妙に雰囲気が暗い部屋だった。一階の廊下のつきあたりで、裏手に建つ別のマンションのせいで陽光が遮られ、部屋に陽が差し込まない。だが、それだけではない何かあるような気がしてならなかった、という。

お兄さんが、どこを選んでも良いというので決めたAの自室。そこがとくに雰囲気がよくなかった。

まず、やたらと寒い。Aは、お兄さんの結婚で追い出されるまで四年間、暮らしたが、夏場、クーラーはおろか扇風機をつけたこともなかった。

殺人的に気温が上がった日に、皆が出かけてしまって一日締め切っていた部屋の中は、三分とじっといられないほどに熱がこもっている。慌ててクーラーをつけたり、窓を開け放つのが普通だ。

ところが、Aが学校から帰って来て玄関を開けると、家の中はひんやりしている。Aの部屋に至ってはまるで、クーラーを一番強くしたかのように冷えきっている。窓を開けると蒸し暑い空気が流れ込んでくるので、窓を開けたことはついぞなかったという。

誰もいないはずなのに気配がしたり、視線を感じることは、しょっちゅうだった。しかし、何も見えるわけではないので、気のせいだろうなと思っていた。

「それ」は、お兄さんが結婚する半年ほど前から始まった。

夜中、目が覚めた。

寝返りをうとうとしたが、身体が動かない。金縛りにかかっていた。金縛りは、しょっちゅうあることだった。じっとしていれば、そのうち解けるか寝てしまうから、気にもしなかった。

Aは身体を横向きに、壁を向いて寝ている。背後でスーッと、襖が開く音が聞こえた。襖のむこうは、お兄さんが寝ている部屋だ。

(兄ちゃんが入ってきたのかな)

だが、近よってくるわけではなく、襖も閉まらない。

(なんだ、人の様子を盗み見たりして、嫌な奴だな)

眠い頭で、そう思った瞬間だった。

横向きのAの顔に、何か「ぱさ」と、かかった。髪の毛だ。だいぶ長い。しなやかな感じからして女の髪だ。しかし、お兄さんと二人暮らし。部屋に女はいない。

あれっ、と思う間もなく、

「ふふふふ」

耳元で、若い女のふくみ笑いが聞こえた。かすかな吐息まで感じられた。Aの上にかがんで、顔をのぞきこみながら笑った、そんな感じだった。

びくっと身体が震えた反動で金縛りがとけた。はね起きて振り返るが、誰もいない。

見ると、寝る前に、たしかに閉めたはずの襖が、ちょうど人が通れるくらいの隙間で開いている。

あわてて、隣のお兄さんが寝ている部屋に駆けこんだ。お兄さんを揺さぶるが、ぐっすりと寝こんでいて、なかなか起きてくれない。力一杯揺さぶり、耳元で怒鳴る。やっと目を覚ましたお兄さんは、気持ちよい眠りを破られて不機嫌の極みにある。

「なんだよ」

「アニキ、今、俺の部屋に来なかったか」

「馬鹿か、見りゃ分かんだろうが。俺は寝てんだよ。オメエの部屋なんか行くかよ」

「今、女が来たッ」

Aは懸命に説明するが、お兄さんは面倒くさがって、まともに話をきいてくれない。

「そりゃ、オメエ寝ぼけてんだ。気にするな寝ちまえ」

Aは、あきらめて部屋に戻ったが、怖い。また笑い声が聞こえたらどうしよう。その夜は、寝られないまま朝をむかえた。

それから数日は、緊張しながら眠りについたが、なにも起こらない。そうなると、自分でも「あれは夢だったのかな」という気になってくるものだ。

そんな矢先。

うおおおおおおおおっ

叫び声が響いた。真夜中のことだ。

どたどたと、さわがしい足音がきこえ、襖がバシーンと音をたてるほど勢いよく開かれた。

「お前、今、俺の部屋に来たか?」

「行かないよ」

お兄さんの顔は血の気を失って青白い。耳元で含み笑いをする女が、お兄さんのところにも来たのだった。

「お前の言ったこと、本当だったんだな」

お兄さんは声をふるわせた。聞いてみると、金縛り、背後に気配、耳元で笑い声と、まったく同じ体験をしている。

Aは、話を信じてもらえて嬉しいような気もしたが、やっぱり夢じゃなかったんだと思うと、気味悪さの方が先に立つ。一体、なんなのだろうか。

それからしばらく、二人して怯えて暮らしたが、なにも起こらなかった。きっと帰ってくれたんだ、よかったよかった。心底ほっとしたという。

そうなると、いつまでも幽霊のことなど気にしていられない。日々の生活の中で、少しずつそんな出来事は忘れていくものだ。

お兄さんに彼女ができた。やがて、お兄さんと結婚して義姉となる人だ。

Aに紹介してくれた後、お兄さんは頻繁に彼女を連れてくるようになった。明るくて優しい女性で、Aもすぐに打ちとけることができた。兄貴と結婚してくれるといいな、と思い始めていた。

つきあいを重ねて慣れてくると、いろいろな面が見えてくる。性格の長所短所はなおのこと、ちょっとした癖や特徴的な仕草、機嫌のよしあしといった、全体的な雰囲気だ。

Aは、彼女が時折、妙に暗い顔をしてみせることに気がついた。具合が悪いのかと心配したが、違うらしい。そのうち、お兄さんも彼女の様子に気がついた。どうかしたのかと訊ねてみると、答えは意外なものだった。

部屋に幽霊がいる、というのである。それも、ひとりやふたりではない。そこら中にいて、まるで霊の巣窟だ、と。

彼女は、強い霊感を持っていた。二人に話すべきかどうかを、ずっと迷っていたのだという。

Aが寝起きしている部屋が、とくに悪く、強い霊が居座っている。それは「髪の長い、若い女」だという。

「今もいるのか?」

お兄さんの質問に、無言でうなずく彼女。

「私が、二人の生活に入りこんできたことに嫉妬しているみたい。すごく怖い顔でにらんでいるの」

Aとお兄さんは、思わず顔を見合わせた。彼女には、あの出来事は話していない。自分たちですら忘れかけていた。

住みついているのは、その女だけではない。遊びに来るたびに数が増えていて、今は六人いる。天井からぶら下がっていたり、部屋のすみに立っていたり、あまり良くないものだという。

この部屋は、マンションの中で「死に部屋」になっている。一階の奥のつきあたりという部屋の位置が、まず良くない。「霊の通り道」も近くにあるらしい。幽霊が溜まりやすい部屋だというのだ。

Aが無精で掃除嫌いで、部屋の窓をめったに開けないのもよくない。窓を開けておくと自分で出て行く者もいるが、常に閉めきっているために、どんどん溜まっていくのだという。彼女は、盛塩をして、こまめに窓を開けるといいと言った。

その言いつけを守ったおかげかどうか分からないが、あいかわらず部屋は寒いものの、その後、奇怪な現象は起こらなかった。

ほどなくして、お兄さんと彼女は結婚した。お邪魔になったAはマンションを出て、私たちとの同居生活を始めた。

Aが出ていった後、義姉さんは、そこに一切の荷物を置かず、完全な空き部屋にした。毎日、部屋の真ん中に盛り塩を欠かさなかったそうだ。

気のせいかも知れないけれど、あの異様な寒さがなくなってました。不思議なものですね、とAは言った。

それで一件落着かというと、そうではなかった。

ある日、義姉さんはAに言った。この部屋に霊が溜まるのは、もともと良くない部屋なのは間違いないのだが、原因が、もう一つあったわ、と。

Aにも若干の霊感があったように、お兄さんは霊を引きよせる体質だった。お兄さんが次から次へと、外でひろって連れてくるのである。

仕事から帰ってきたお兄さんを玄関まで出迎えた義姉さんは、お兄さんの背後に霊が、おおいかぶさっているのを見て「ひっ」と小さな悲鳴をあげた。そういうことが何度もあった。

ある時など、買い物に出かけて帰るのが遅くなった。すでに、お兄さんが仕事から戻ってくる時刻だった。急いで帰ってくると、マンションの廊下に男の下半身だけが突っ立っている。上半身は、ない。どうしよう、いやだなあ、と迷ったけれど、通り抜けないことには部屋に入れない。

覚悟を決めて、その下半身から、なるべく身を離すようにして横をすり抜けた。

案の定、すでにお兄さんは帰っていた。

「遅かったね」

「ごめんね。今すぐ、ご飯作るからね」

と、言いかけて、義姉さんは息を呑んだ。

お兄さんの頭上、天井に男の上半身だけがあった。生気のない(当たり前だが)瞳で、じっと義姉さんを見つめている。

腰の部分を天井にくっつけて「逆さ」にぶら下がっているので、まるで天井から生えているように見える。下半身の部分は、廊下にいたあれだろう。こいつも、お兄さんが拾ってきたらしい――。

部屋の中に入ってきた「モノ」はなんとか追い払うことができても、なにかと連れてきてしまうお兄さんの体質だけは、どうにもならない。義姉さんは、日々、お兄さんが連れてくる「モノ」たちと戦う毎日だったという。

やがて、お兄さん夫婦は霊と戦うのにうんざりした、というわけでもないだろうが、仕事の関係で引っ越すことになり、この部屋を出た。

今では、他の人が住んでいる。お兄さんにも原因があったにしろ、そもそも良くない部屋だ。きっと今でも、住人以外の何かが出入りしているに違いない。そうAは思っているという。

ちなみに、お兄さんは、今でも相変わらず変なものを連れ帰り、義姉さんを困らせているという話だ。