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捕獲されました。年貢の納め時というやつ。
2011年07月11日 (月) | 編集 |
ラーメンのあとは、お茶で休憩。

だけど、みんな午後2時すぎには帰るんですって。むほほん、男は帰りたければ勝手に帰るがよい。あたくしは、みいたんと永遠に歓談しているから。と思ったが、みいたんだけが残ってくれるはずもなく帰ってしまうのであり、わあん切ない。

2時までには、たった1時間しかない。電気街口方面に移動する。

途中、こまさんが駅前のアダルトグッズのビルにみいたんを連れこもうとした。

「ひとりで入って!」

と、みいたんが顔をこわばらせて叫ぶという一幕もあり、きゃあ、ラヴリィ。いや、この街らしく「もえー」と声をあげるべきだろうか?

などと考えこんでいるうちに、メイド喫茶に腰をおちつけている、あたくしたち。秋葉原でお茶といえば、このテの店しか思い浮かばない。まるで、その道に詳しい人のように思えてしまうが、そんなことないのである。でも「お茶しよう」という話で、いきなりここに連れこまれた、みいたんからすれば、あたくしたち数奇者以外の何者でもないよね。

入ったのは、このお店。

■欧風ギルドレストラン 『ザ・グランヴァニア』http://the-granvania.ciao.jp/

店内は落ち着いた雰囲気。話では、こうなる以前は普通の喫茶店だったという。

注文をとりにきたメイドさんに、ごんたくんが、

「この店は、もえー、とか、じゃんけんとか、そういうのないの?」

と、質問した。

「ないんです。ここは、しっとり落ち着いて食事を楽しむ店なんで」

「へえ、そうなんだー」

だけど『メイドさんと勝負! 勝てばチェキか、ポイントがもらえます』ってのが、あるんだけど……。なにより、あたくしの背後の席では、たるんだ体型の男がはあはあ言いながら、注文したオムライスにケチャップで絵をかいてもらおうと、メイドさんと絵柄の相談中。

「××にー、しますかー?」
「えへ、へへ、ええ。はあはあ」
「どーしよー
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2011年07月10日 (日) | 編集 |
あたくしは、司馬遼太郎の作品のなかでも『峠』をイチオシにしている。『峠』の舞台は新潟県長岡市。

『峠』を愛するあまりに、越後長岡までも愛しくてたまらなくなった。……と書きながら、一度も訪れたことがない土地。すべては想像のなかにしかない風景。長岡に降りつもる雪は特別に風情があるだろうし、長岡に注ぐ日光は格別の慈愛に満ちているはずである。

地上の楽園、越後長岡。よせる愛情は、いつしか、ゆがんでいた。

つよい慕情を胸にいだいて生きていると不思議なもので、越後長岡とかかわりがある人と、ふたりも知り合うことができた。しかもUOで。

ももさんは越後長岡に暮らす人であるし、ごんたくんは越後長岡で生まれ育ち、名前に、牧野氏の通字「忠」をいただくほどの男。おまけに、実家は山本元帥ともかかわりがあるという。いったい何者なのかしら。

かくして、長岡への愛は、秋葉原に出店している長岡ラーメンの店『青島食堂』で、ラーメンをいただくという話に結実していく。これぞ、縁―えにし―というものであろう。ずいぶんスケールダウンしたとか言うな。

去る、6月25日土曜日。秋葉原駅・昭和通り口改札前に集合。

ごんたくん、こまさん、みいたんと、あたくしの4人。この日、長岡への愛を全身から炎立たせていたあたくしだが、夏らしい白のよそおいのみいたんが現れたときに、女子への愛の炎へと、瞬時にすりかわった。きゃあ、みいたんラヴリィ。

『青島食堂』には、お昼すこし前につく。すでに店内は満席で、15人ほどの順番待ちの列ができていた。

それにしても、わかりづらい店よね。大通りから離れた路地の奥にあり、店の片面はシャッターが下りている。看板は見上げる高い位置にあり、青地に黒い文字で『新潟 長岡 青島食堂』。およそ、目立たせる気のない店がまえ。

これは「常在戦場」の精神が、現代にも生きているのだと指摘せざるをえない。戦場に派手な宣伝はない。したがって、おこなわない。さすがは長岡ゆかりの店だと感服した。戦場にラーメンはない、とかのまぜっかえしは厳に禁止。

あっ「看板は掛けるとも、派手に書くなといふ事」とか思いついたけど、ついてこられる人がいなさそう。もっとも、読み手なんぞほったらかしなのは、いつもの事。

長岡で暮らしていたころは、しょっちゅう食べていたという、ごんたくんのススメに従い、チャーシュー麺に、ほうれん草を増量する。でもネギを忘れた。

カウンター9席のみの店内では、仲間だからといって、まとまって座ることはできない。空いたところから、順に座っていく。まず、あたくし。次に、みいたん。きゃあ、あたくしの隣の席が空きましたわよ! みいたんとふたり並んでラヴラーメンとなったのであるが、そのみいたんの隣も空いて、ごんたくんがやってきた。

「お邪魔だったかしら?」

ごんたくんにせっかく、お約束の言葉をたまわったというのに、そんなことないわないわ、と素直に答えてしまう、あたくし。ここは舌打ちかましておくべきだったよね。とっさの返しに弱い自分がくやしい。

なお、こまさんは一人はなれた場所で生ビール+ラーメン。ここぞとばかりに、みいたんに、

「こまさんは、いつもああいうファンキーな人なので?」

と聞いておく。微妙な困り顔で、わかんない、と答えるみいたん。きゃあ、困り顔もラヴリィよ。

出てきたラーメンは、濃い醤油の色。しょうがが効いているのが、青島食堂。……だけど、想像してたよりは穏やかな風味で、もっとガツンと「むはー、長岡城奪還戦! 口の中へ長岡藩軍が! おれの口が今町口!」になるかと思っていたわ。脂が、やや強めに感じたから、ごんた君のオススメどおりに、ほうれん草とネギを増量するのが吉かな。

長岡効果と、みいたん効果が相乗して、たいへんにおいちいラーメンでした。

(後編につづく)
2011年07月03日 (日) | 編集 |
ドトールに行った。このところ、毎日のように通っている。家は暑いから、涼みに行くのである。いんちきバリサルダ小説を書くのに、ちょうどいいし。

だが、考えることはみな同じとみえて、時間帯によっては、かなり混んでいる。あたくし定位置の隅っこの席が空いていない。壁の角に身体をはめこんで、三白眼で店内をじとりじとりと、ねめまわすのが趣味なのに。生きがいなのに。

しかたなく、店の中央にある円卓のような大きいテーブル席につくのだけど、わかい女性がとなりに座ると緊張するね。

「おじさん汗くさくないかしら? 不快じゃないかしら? こんなおじさんでも生きてていいのかしら? ああん、ごめんなさいごめんなさい」

と、むやみに焦り、席についたばかりだというのに、飲み物を一気にのみほして店を出るということも、たまにある。なんだかもう、いろいろとごめんなさい。本当に。

さて、蒸し暑い今日も店内はお客がいっぱい。席があいておらず、円卓にすわる。さいわいなことに、両隣は年配のご夫婦。買い物のかえりらしく、紙袋をいくつもテーブルに乗せている。ほっと安心。

向かいに、二十歳を越したばかりと思える若い男女三人づれがいる。男ふたり、女ひとり。女性を間にはさんで、両側に男が陣取っている。あたくしから見て左側の男がお調子者で、ずっと喋りつづけ、女性と右側の男を笑わせている。

きれぎれに聞こえてくる会話から察するに、右の男と女性が恋人で、左の男は、右の男の友人らしい。

女性が、左の男に話しかけられ、なにかひと言ふた言、答えた。そして、彼の横顔をちらっと見る。彼の顔は少し高い位置にあるから、女性の視線はわずかに上目づかいになるが、それが自然と、甘えたようなやわらかい表情になる。

ああ、恋ですねえ。

女性は、左の男に話しかけられて答える、そのたびに彼の横顔を見る。

「ね?」

と、問いたげな笑顔をうかべて。

彼がストローをくわえている仕草も、パンをちぎって口にはこぶ様子も、やさしい笑顔で見守っている。

ああん、恋ですねえ、いいですねえ、お幸せに。あたくしは、だいすきな彼を見つめる女性を、見つめている。あったかい気持ちになって、自分の飲み物を手にとった。

ふと気がつくと、だいすきな彼を見つめる女性を見つめているあたくしを、カウンターの中から女性店員が見つめていた。

(人様を、じろじろ不躾に見てんじゃねーよ、テメー)

と、言いたげな険しい目だった。きゃあ、ごめんなさい。とたんに、あたくしは、おどおど不審おじさんと化して目を伏せたのである。

なにやら気まずい。

(帰ろうかしら)

と思った。

あたくしの隣の席が空いた。すぐに、次のお客が椅子に座った。店内は、あいかわらず混雑している。

「それがね、あの、あの、あのあのあのあの、あのね、うちの兄貴もね、おやじの財産は守り切るとね、言ってるんですよね」

あれえ、この落ち着きのない強烈な「ね」喋りは、聞きおぼえがあるな。

「まったくね、ええ、狙うにしてもね、ほどがあるんですよ。ね。ちきしょう、あいつらになんの権利があるんだっ。ね、おやじが生きてたうちにはね、なにも、ね。なにもしなかったのですよ。ね、わかりますか、ね」

「ええ、ええ、あたしも××さんには世話になりましたから。事情はよくのみこんでますよ。守らなきゃ。守らなきゃね」

「守りますよ! みすみすね、とられたんじゃね、おやじもね、浮かばれないですよ。ね。わかる? ね、ね、ね」

って、お前らは、いつぞやの親戚と遺産を争ってるおっさん二人組! まだ決着ついてなかったのか!

あたくしは、帰るのをやめて、遺産相続あらそいのすべてを耳におさめてやることにした。街中のコーヒーショップで、そんな身内の事情を大声で喋っているほうが悪いのである。聞け、といわんばかりではないか。

懸命に会話を記憶しようとしたのに。帰宅した今、金にむらがる親族の相克の内容は、きれいに忘れて、おぼえているのは、おやじの、

「ね」

ばかり。耳について離れねー。

しかも、この文章を読み返してたら「ね」がたくさん使われてるものだから、ゲシュタルト崩壊起こしたぜ、「ね」って、こんな字だったかしら……。