2010年05月19日 (水) | 編集 |
夜中、家のそばにある自動販売機にジュースを買いに行った。
どれにしようか迷っていると、足に、のっ、というかんじで重みがきた。なにごとかと見ると、靴のうえに猫がまるくなってのっかっていた。まるまると肥えた猫で、すごく重いの。
なにこれ!
ずいぶんと人なつこいなー、かわいいなー。頭をなでようとしたら、触られるのがいやなのか、耳をふせて頭をとおざけ、しまいには牙むいて、
「カーッ」
威嚇するの。
じゃあ、おまえどけ! 重いから!
足をはらおうとしたのであるが、思いもよらぬワナにおちいってた。
足にのっかる猫に気をとられているうちに、まわりが猫だらけ。10匹ちかい猫が、カップルをみつけた暴走族のごとくに、あたくしの周囲をぐるぐるまわり、足にじゃれつき、しまいには人間の盾ならぬ、猫の輪ができあがった。
夜の猫集会のまんなかに、まぎれこんでしまったのであろうか。
猫のみなさんは、あたくしに興味などないという風に、あちこちそっぽを向いている。そのくせ、動こうとすると、みんなしてこっちを見てニャーニャーいうの。
「かえらニャイでー、そこにいてー、ニャーニャー」
とでも言ってるのかしら。かわいいのう。が、なでようとすると露骨にいやがり、不機嫌そうな視線でにらみつける。猫の三白眼、こわいわ!
あたくしが身動きするたびに、ニャー、ニャーと、一斉に愛らしい鳴き声をたてるのであるが、そのうち気がついた。
鳴き声や仕草をカワイイと感じるのは人間の身勝手というもので、こいつら、
「人間。ワレはずっと、そこにたっとき。ワシらの気がすむまで動くんやないで」
「あっ、こいつ、動くなゆうのに」
「このボケ、うごきゃがって、じっとせいゆうのんがわからんか」
「いちびっとんやないで」
「さわんな、ワシにさわんなや!」
「おどれ、たいがいにさらせ、人間コラー、ボケ」
「しばくぞ、ワレ」
などと言ってるに違いなく、であればこそ、あたくしさっきから「シャー」だの「カー」だのと、威嚇されているのであろう。
気の弱いあたくしは、猫さまと目があうたびに、
「すんません、すんません」
と、あやまるはめになり、猫さまはそのたびに、
「ちっ、しょーもない」
「うっざいわ、このガキ」
とでも言いたげに、ぷいと目をそらすのである。
動くに動けないあたくしは、自動販売機の前で猫にかこまれて一時間ばかり、ボーッとしていた。最後には、足にのっていた大猫さまが、のっそりと動きだしたのを合図のように、
「ほな、きょうはいぬわ」
「さいなら」
「おつかれ」
三々五々、猫さまたちは散っていった。ひとり、とり残されたあたくしの、この寂寥感をどうしたらいいのであろうか。
おかげで寝るのがおそくなり、朝、寝坊して会社に遅刻した。猫集会はおそろしい。
どれにしようか迷っていると、足に、のっ、というかんじで重みがきた。なにごとかと見ると、靴のうえに猫がまるくなってのっかっていた。まるまると肥えた猫で、すごく重いの。
なにこれ!
ずいぶんと人なつこいなー、かわいいなー。頭をなでようとしたら、触られるのがいやなのか、耳をふせて頭をとおざけ、しまいには牙むいて、
「カーッ」
威嚇するの。
じゃあ、おまえどけ! 重いから!
足をはらおうとしたのであるが、思いもよらぬワナにおちいってた。
足にのっかる猫に気をとられているうちに、まわりが猫だらけ。10匹ちかい猫が、カップルをみつけた暴走族のごとくに、あたくしの周囲をぐるぐるまわり、足にじゃれつき、しまいには人間の盾ならぬ、猫の輪ができあがった。
夜の猫集会のまんなかに、まぎれこんでしまったのであろうか。
猫のみなさんは、あたくしに興味などないという風に、あちこちそっぽを向いている。そのくせ、動こうとすると、みんなしてこっちを見てニャーニャーいうの。
「かえらニャイでー、そこにいてー、ニャーニャー」
とでも言ってるのかしら。かわいいのう。が、なでようとすると露骨にいやがり、不機嫌そうな視線でにらみつける。猫の三白眼、こわいわ!
あたくしが身動きするたびに、ニャー、ニャーと、一斉に愛らしい鳴き声をたてるのであるが、そのうち気がついた。
鳴き声や仕草をカワイイと感じるのは人間の身勝手というもので、こいつら、
「人間。ワレはずっと、そこにたっとき。ワシらの気がすむまで動くんやないで」
「あっ、こいつ、動くなゆうのに」
「このボケ、うごきゃがって、じっとせいゆうのんがわからんか」
「いちびっとんやないで」
「さわんな、ワシにさわんなや!」
「おどれ、たいがいにさらせ、人間コラー、ボケ」
「しばくぞ、ワレ」
などと言ってるに違いなく、であればこそ、あたくしさっきから「シャー」だの「カー」だのと、威嚇されているのであろう。
気の弱いあたくしは、猫さまと目があうたびに、
「すんません、すんません」
と、あやまるはめになり、猫さまはそのたびに、
「ちっ、しょーもない」
「うっざいわ、このガキ」
とでも言いたげに、ぷいと目をそらすのである。
動くに動けないあたくしは、自動販売機の前で猫にかこまれて一時間ばかり、ボーッとしていた。最後には、足にのっていた大猫さまが、のっそりと動きだしたのを合図のように、
「ほな、きょうはいぬわ」
「さいなら」
「おつかれ」
三々五々、猫さまたちは散っていった。ひとり、とり残されたあたくしの、この寂寥感をどうしたらいいのであろうか。
おかげで寝るのがおそくなり、朝、寝坊して会社に遅刻した。猫集会はおそろしい。
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