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捕獲されました。年貢の納め時というやつ。
2009年08月14日 (金) | 編集 |
あたくし、青春のアイドルはのりピーでした。覚醒剤で逮捕されちゃって、わあ、複雑。

なんだか、ずっと物悲しかったあたくし。

といって、今はのりピーファンでもなく、未練もない。なんせ、あたくし以外の男と結婚した女ですから、あたくしは捨てられたわけで、彼女がどう転落しようが関係はありませぬ。くそうくそう。

のりピーの代わりに俺を逮捕しろ! てな気持ちは微塵もないし、罪に応じた罰を受けるのが適当だと思う。

なのに、切ないのはなんでだ?

ポエマーかつ粘着質なあたくしは、自分の心の動きを探らずにおれない。こんなだから、怪奇サイトの掲示板にも、文章がくどいって書かれちゃうんだよね。アハーン。

あれこれ考えていると、宮部みゆきの「ぼんくら」を思い出すのです。

主人公井筒平四郎は、南町奉行所同心の町方役人。現代でいうと、市役所職員と警察官をあわせたような役割だと思えば、おおよそ近いでしょうか。

井筒平四郎は、平凡すぎるほどに平凡な男で、これといった才能のない、ぼんくら同心だった。

ただ、細君はとびきり美しい。三人姉妹の三女だが、姉妹揃って美しい。若い頃は、八丁堀小町ともてはやされていたほど。美しい妻を娶ったことを、井筒平四郎も心ひそかに自慢に思っていた。

この夫婦には子供がいない。養子をとろうと考えていた。細君は、次姉の子で十二歳になる男の子、弓之助を養子に欲しいと夫に訴えた。この子は「実にべらぼうな美形」であるという。

ただ、細君のこの弓之助に執心する理由がちょっとばかりふるっている。

「なにしろ人形のようにきれいな顔形の子でございますからね」と、彼女は憂い顔で言うのである。「こういう子供は、本当にたやすく人の道を踏み外してしまうものです。特に男の子でございますからなおさら危のうございます。迂闊に町場に置いておくよりは、町方役人の堅い務めを与えて、しっかりと八丁堀に根づかせてやった方が、いずれ幸せでございます」

(中略)

「それでなくても、見てくれの良さというものは、けっして人のためにはなりません」細君は切々と訴える。「わたくしも姉様たちも、それをよくよく存じ上げておりますから、弓之助の行く末が心配なのです。ほかの子供たちは、姉様たちに似ずにそこそこでございましたから、安堵していたのです。ですが、弓之助は尋常ではございませんからね。あの顔は」

(中略)

「夫に自慢に思われているということが自慢だったわけですわ。たかが見てくれのことだけだというのに。あなたがわたくしを真に妻として認めてくだすっているわけでもないのに。ただ見てくれがいいというだけで自慢にされているだけでございますのに」

平四郎は思わず言った。「しかし、そりゃ人情というものだろう」

「ですからいけませんのです」細君はきっとなった。「何も努力をしなくても、何ひとつ身についていなくても、ただ美しいというだけで人はちやほやしてくれる。これが良いことであるわけがございませんでしょ? それにねあなた、これは引っくり返せば、わたくしや姉様は、娘として妻として、どれほど真摯に努めましても、思ったほどには報われないということでございますよ。まわりの人びとは皆、姿形がきれいだということばかりに目を向けて、わたくしたちの中身を見ようとしてはくださらない。そういうことが続きますと、あなた、わたくしたちだって気がくさくさして参りますのよ。いっそ見てくれの良さの上にあぐらをかき、楽をして世渡りをしようなどと、不届きなことのひとつも考えますわ」


のりピーのテレビデビューは、15歳11ヶ月のとき。そんな小娘に才能があったはずはなく、あったとしても輝くのはこれからの努力である年齢で、結局は見てくれのよさで拾われたにすぎませぬ。

たかが15歳の少女を、堅気の世界からは正反対の、芸能界なんちゅー魑魅魍魎の蠢く地獄に放り投げて消費しつくしたことに、なんの感慨もないのかしら。「酒井は頭が悪い女です」って一刀両断してすむ話なのかしら。

もちろん、だからといって転落が正当化されるわけでも、覚醒剤に手を出していいわけでもないけど、彼女本人の責任とはまったく別に、自分たちも転落の後押しをしているのだって視点を持つのは、甘いことなんでしょうかね。

梨本あたりが正論をふりかざして吼えてるのを見ると、そもそも芸能リポーターなんてのは、どうしようもない人種だと思うのですが、とっても切なくなるのでございますよ、あなた。
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