FC2ブログ
捕獲されました。年貢の納め時というやつ。
2008年10月13日 (月) | 編集 |
わたくしに、です、ます調の丁寧な文体は合っていなかった。

最近のブログを読んで、お分かりの通り、新境地を開こうとして、意識的にですますを用いていた。失敗だったと、正直に告白する。

ふだん文章を書くことの多い人には分かってもらえるかもしれないが、勝手の違う文体は、表現が萎縮する。思うように文章が走ってくれず、自分が自分でないような心持ちになる。実にもどかしい。背筋が、むずむずする。尻が落ち着かずに、もぞもぞする。気がつくと、電車の中で、ぶつぶつ呟いていた。

ぶつぶつ呟くだけならば害はないが(たぶん)、今日などは、仕事帰りの電車で、わたくしの隣に若いカップルが座った。

女 「ごはん、超おいしかったね」
男 「うまかった。また行こうね」

楽しそうな会話。女性の柔らかい笑顔と、それを見つめる男の優しい視線。二人を包む、愛の気配。

いいなあ、羨ましいなあ。わたくしは休日出勤なのに、きみらは愛を育んできたのだなあ。いやいや、決して妬んでるわけではないのだ。たくさん楽しんでもらいたい。袖擦りあうも他生の縁という。電車の座席で隣り合わせたのも縁だ。わたくしは心から君らの幸せを祈りたい。

二人の仲よさそうな会話に耳を傾けながら、そんなことを考えて、心を温かくしていた。どうよ、この度量の広さは。わたしくが、これほどの男だと知ったら、心を寄せてくれる女性もいようものを、篤い心のうちを知らしめる術がないのが残念である。

二人の世界に、自分もこっそりと参加して、陰から祝福しているつもりになっていた。落とし穴であった。

女性が、「おこげが美味しかったね」と言った。

わたくしは、「そうなんだ、よかったね」と思った。思っただけでなく、口に出して答えていた。自分でも驚くくらい、でかい声だった。

瞬時に、会話が途絶える二人。男が、ちらりと横目でわたくしを睨みつけた。彼氏の身体の陰に隠れるようにした女性が、冷たく光る片目だけを覗かせて、わたくしを見た。わたくしは、遠い目で虚空を見上げた。

……と、そんなことが起こってしまったのだ。なんということだ。納得できるブログが書けない影響が、こんな形で噴出するとは。これでは、危険人物予備軍ではないか。こんなことではいけない。よし、元の文体に戻すことにするぜ。である! だ! と、ろくでもないことを力いっぱい断定するのが、わたくしである。個性である。独自性である。人権尊重である。陰険村長である。わあい、走ってきた走ってきた。

電車での不覚は、一刻も早く忘れないと、布団をかぶって終夜、うめくことになりかねない。よーし、トラビアンにログインだぜ~。

うわー、なんだかチカチカ光ってるわ。うわー、「攻撃」って出てるわ。うわー、攻められてるわ!

幸いにして、攻撃軍の到着まで20分ほどある。このゲーム、攻撃にしろ、援軍にしろ、取引にしろ、ユニットごとの速度が決められており、距離のある村に対して行動を起こすと、やたらと時間がかかる。村を出発した攻撃軍が、目標の村に到着するのに3時間……てなことは、ざらにあるのだ。

これに対して、わたくしの越後長岡城と、中之島は、隣り合ったマスにあるので、援軍も、物資輸送も、迅速に終了できる。

本来は、防御施設の整っていない中之島は、戦場とするには不利なのだが、ここは我が全力歩兵250人を布陣させる。これで負けたら後が続かず一気にゲームが終了する虚勢ではあるが、弱気を見せては、つけこまれる。皇国の興廃此の一戦に在り、各員一層奮励努力せよ。会計明朗なれど、無闇に高し。

緊張の20分が過ぎ、敵軍到着。結果は、結果は、どうなんだー! と、クリックすると、あら英雄が一人。たった一人でやってきた英雄は華々しく戦って散っていった。こちらの損害は2人。

拍子抜けだが、これは威力偵察とみるべきであろう。こちらの対応が弱気なら、かさにかかって本軍がやって来るという寸法だ。

我が軍の本気の対応を見て、もっと楽な狩場を狙うことにしたのか、その後の襲撃はない。ひとまずは安心じゃ。これで、今しばらくの時を稼ぐことができようぞ。みなのもの、勝鬨をあげい。えいえいおー、えいえいおー。

すっかり、気分も良くなって、今日は熟睡できそうである。電車での失態も、きれいに忘れ去ったぜ。はっはっは。
スポンサーサイト