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捕獲されました。年貢の納め時というやつ。
2008年06月24日 (火) | 編集 |
現場に到着して、さて仕事を始めようとしたところ、お客さんが不審そうな顔をして出てきて、
「あれ、お願いしたのは明日ですが……」
と言うの。

慌てて手元の「作業指示書」を見るが、間違いなく、ここに行けと書いてある。が、客が明日だというからには、しょうがない。「失礼しました、あらためて明日伺います」と伝えて退散した。

会社に、どうなっちょるのかと電話した。今の現場はたしかに明日の間違いで、今日は別の現場に行く予定だったという。当然、そちらの顧客から、「まだ来ませんか」というクレーム到着していた。

その責任は、ええええ、ぼくが負うのですか。

じゃあ、この「作業指示書」が、ぼくの手の中にあるのは、どういうわけで? と質問しましたところ、
「そりゃ、お前、自分で間違えて持っていったんだろう。確認しなきゃだめだよ」
傲然と部長がおっしゃいますの。実に、摩訶不思議だといわざるを得ない。

うちの会社では、朝、各班ごとに机の上に出ているファイルを持って出ることになっている。ぼくは、いつもどおりに机の上に準備されていたファイルを取った。どうやったら、明日の作業分のファイルを持ち出すなんてことができるのですか。

「寝ぼけてんじゃないよ。仕事なんだから、しっかりしようよ」

まいったぜ、こりゃハハハ。しかも、会社に戻ったら、社長直々のお目玉を喰らう。踏んだり蹴ったりだぜ、ハハハ。

他の社員に愚痴ったら、「ああ、俺もやられた」と、口を揃えて言うの。最先任の先輩など、現場を5か所もたらいまわしにされたうえに、全部、指示が間違っていて、あげく始末書を書かされたというから、夢のような体験であったろうね。

「そういう意味じゃ、部長の指示を疑わずに鵜呑みにしたっていうミスがあるよね」

と言い合い、みんなで自虐的にハハハハと笑って、解散した。

社長は、部長に全幅の信頼をおいていて、「ヤツに任せれば間違いはない」と惚れこんでいる。たしかに、失敗は部下に押し付けるから、本人の間違いは少ない……ように見える。

まるで、狙撃成功率99.73%のゴルゴ13のようだ。

ここでわたくしは、あっ、と気がついた。考えてもみよ。99.73%などという、常軌を逸した成功率がありえるだろうか? ゴルゴは超人なのだという説明は、わたくしの心に響かない。それを言うなら、仕事成功率99%のうちの部長だって超人ではないか。どこかに、からくりがあるのだ。

うちの部長の場合で考えてみよう。10の仕事があったとして、実は3か4のミスがある。が、それでは評価が下がってしまうから、ミスを2つか3つ、部下に押し付ける。すると、ミスは10のうちの1つということになる。なんという、華麗な手妻。

ゴルゴもこの手を使っているに違いない。実は、ゴルゴも狙撃を失敗する。当然のことだ。だが、その失敗は闇に葬られている。失敗を切り捨てれば、成功率が上がるのは必然だ。

「ゴルゴに依頼したつもりが、そいつは偽物だった。寝ぼけてんじゃないよ、しっかり確認しようぜCIA」

とでもしておけば、誰も文句は言えまい。ゴルゴの氏素性は、まったくの謎。本物と、寸分違わずそっくりな偽物を、どうやって見分けるというのか?

ゴルゴの狙撃は、他の人間にはとうてい成功するの見込みのない、難しい仕事だ。だが、これは、ゴルゴは一人であるという思い込みが、目くらましになっている。発想を転換してみよう。一つの標的を十人のゴルゴが狙っていたら、どうだろう。十人のうち一人が、狙撃を成功させればいい。

仮に、これをゴルゴ・システムと呼ぶことにしよう。

依頼を受けたゴルゴ・システムは、世界各地にチームを送り込む。一つのチームは、複数人のゴルゴが組んでいる。ミッションの難易度によっては、二十人かもしれないし、百人かもしれない。外見は、ほぼ全員が同じ。整形なのか、映画「ミッション・インポッシブル」の、イーサン・ハントのように、特殊なマスクをかぶっているのかは分からない。

が、どうしたって中身は違うから、やたら女との絡みがある回、女に見向きもしない回、ゴルゴのセリフが多い回と、まったく喋らない回というような違いが出てくる。

影武者ではない。デューク・東郷という「個人」は存在しないのである。いるかのように、装われているだけ。だから、各国の諜報機関がゴルゴの秘密を探ろうとしても、霧に包まれたかのように分からないのだ。

──という妄想で現実逃避をしながら、今日も、わたくしは生きています。
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