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捕獲されました。年貢の納め時というやつ。
2007年12月05日 (水) | 編集 |
マジンシアの、悪魔族との戦いは、唐突に決着がついた。

ここ数日、小康状態が続いていたマジンシア戦線だったが、今朝になって、悪魔族に新たな動きがあると前線部隊が警報を発した。防衛軍が色めきたつうちに、新たな悪魔が出現した。
すわ、悪魔族の最後の攻勢か。防衛軍は直ちに迎撃態勢をとり……数時間で、討滅してしまったというのである。

したがって、ほとんどのプレイヤーは、新たな悪魔がどんな姿かたちをしていたのか、見ていない。わたくしも、見ていない一人である。

市民の間には、あまりに唐突だ、悪魔は本当にもう帰ったのか、何をしにきたのか分からない、と疑問の声が高い。だが、そうだろうか? わたくしには、この呆気ないと思えるほどの幕切れも納得できるものがある。

今のところ、悪魔族の首魁が何者で、マジンシアに侵攻した意図がどこにあるかは明らかになっていない。今後の、ブリタニア政府の調査を待たねばならない。

だが、その「何者」かは、この結果に大いに満足しているのではなかろうか。今回の侵攻で、人間は自らの手でマジンシアを破壊した。それこそが、悪魔の目的ではなかったろうかと思えてならない。

すでに書いたことだが繰り返す。そもそも、マジンシアに集まったプレイヤーで、街を守ろうと考えている者など一握りしかいなかった。ほとんどの者は防衛軍とは名ばかりで、目的は悪魔の能力を借りてマジンシア市街を破壊し、瓦礫を売り払って私腹を肥やそうとするところにあった。防衛どころか、むしろ悪魔の手先というべき存在。

そして、彼らの目論見どおりに、マジンシアは灰燼に帰した。マジンシアに暮らす人々が、長い年月と労力と資材を注いで築き上げてきた歴史は、たった数日で、他でもないプレイヤーの手引きによって粉々に打ち砕かれた。

ある者は自宅に瓦礫を飾り、物珍しいアイテムを手に入れたことに満足した。またある者は、片端からアイテムを拾い集めて、目玉が飛び出るような高値で売り払い、懐を十二分に潤した。

こうして己の欲得が満足すると、廃墟となったうえに危険な悪魔が闊歩するマジンシアに留まる価値など、もはやありはしなかった。彼らは次なる儲け話を求めて、さっさとブリタニアの各地に散っていったのである。

悪魔族が目に見える姿をとってマジンシアに侵攻したことは、巧妙な囮だった。誰もが、目の前の敵に注意を奪われ、心の内にも悪魔が潜んでいることを忘れた。

目に見える悪魔を倒しているつもりで、あるいは、悪魔を利用しているつもりで、知らずうちに心を操られていた。これこそが、我々の心を落とすことこそが、悪魔の真の目的ではなかったろうかと思えてならないのである。

古来より悪魔は、自らが破壊と死を撒き散らすよりも、人間の心に毒を流し込み、堕落させ、人間が自らの業によって首を絞めることになるよう誘惑する存在だった。

「してやられた」

と、歯噛みしているのは、わたくしだけであろうか。
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