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捕獲されました。年貢の納め時というやつ。
2018年11月03日 (土) | 編集 |
37-38.数学的にありえない 上・下/アダム・ファウアー

主人公は、数学の才能があり、数学の講師として暮らしていた。ある時から、癲癇を患うようになり、激烈な発作のために職をうしなう。人生やけっぱち。カードギャンブルにのめりこみ、大負けして多額の借金を背負う。胴元のヤクザ者に、金返さんかいワレ、とばかりに襲われそうになるところを、統合失調症を患う兄に助けられる。

そこから舞台に現れるのは、名声を得んがために倫理から踏み出る精神科医、政府の役人、秘密情報機関、北朝鮮、ロシア、特殊部隊。監禁、人体実験。

こんな紹介されても、何のことか、さっぱりわからんように、読んでてもわからんかった。

癲癇と統合失調症が、ある能力とつながっていたことが明らかになってから、とんでもないSF展開。映画化されたら、日本版の主題歌は『未来予想図II』になるに違いない。ずっと心に描く未来予想図は、ほら、思った通りにかなえられてく。

随所に、確率論、数学、物理学の蘊蓄がちりばめられて、読んでいるだけで頭がよくなった気になれる。しかし、すぐ忘れるので、元にもどる。

そして、銃撃と、爆発と、女殺し屋。男の子が大好きな世界へようこそ。当然、ぼくも大好きであった。男子、ばんざい。わあい、わあい。
2018年09月30日 (日) | 編集 |
28-35.坂の上の雲 全八巻/司馬遼太郎 (再読)

何度目からもわからない、坂の上の雲。小説で日露戦争を読もうと思ったら、一番手軽なのかな。でも、ぼくとしては、司馬遼太郎作品の中では、あまり評価しない。もちろん面白くはあるのだけど、うまく燃え上がれないというか。


36.下町ロケット ガウディ計画/池井戸潤

奥方様から誕生日のプレゼントにもらったのん。わあいわあい。

下町ロケットシリーズの第二作。窮地に追い込まれ、絶体絶命のピンチから間一髪で復活する。池井戸作品の、真面目に粉骨砕身するやつは報われて、口ばっかりの嫌なやつはきっちり破滅する、お約束の流れといっちゃえばそうなんだけど、最後の開放感につなげる手際はあいかわらず素晴らしい。

池井戸潤作品を読むと、自分も何かをしなければならない気にさせられて、燃え上がる。この、焚きつけられる感じが、司馬遼太郎と似ていて、すごく好きね。
2018年09月12日 (水) | 編集 |
14、15巻を買う。

第14巻は、どれも好きな話だけれど、一番は第56話の『悪戯な雨』かな。雨の日の出会いは、最後の一コマにつながって、やわらかい思い出になって残る。こんなの反則やろ、おじさん泣くやろ。うわーん。

物語は読み手によって、いろいろな受け取り方ができる。ぼくは年齢的に、主人公の夏目貴志より、彼を見守る立場の人物に感情移入する場面が多々ある。物語によって、塔子と滋の夫婦だったり、名取周一だったり、ときどき、ニャンコ先生だったりする。無言で、だれかの横顔を見つめる目。この漫画でよく出てくる、あの表現のままに。

貴志を引き取る、塔子と滋に焦点をあてた回が第15巻の特別編13『塔子と滋』。ぼくは『夏目友人帳』を読むたび、脱水状態で死にそうになるのだけど、特別編だけに特別に効いた。

貴志を引き取る以前。友人から旅行に誘われ、滋を留守番に残して、出かけた塔子。楽しい一日をすごし、宿の布団の中で眠りに落ちる前に、思うのだ。

――ああ いつか
あの人を 失う日がきたら
私は生きて いけるかしら
いつか 私を失っても
あの人は 生きてゆけるかしら


かならず別れの時はくる。頭でわかっていても、日々の忙しさに隠れてしまう現実。それに、常にそんなことを考えながら生きてゆけるものでもない。それが、ふとした拍子に思い出す。忘れていたこと、考えぬように押しやっていたことが姿をあらわし、思考を独占し、胸を苦しくさせる。まるで、あやかしのよう。

『夏目友人帳』は、出会いと別れを繰り返す物語。会えた瞬間は濃密につながるけれど、別れるべき時がくれば、見苦しくつながり続けようとはせず、さらりと離れ、しかし心は残している。一期一会の余韻が、たまらない魅力だと思う。

こうありたいと願いながら、なかなかに執着を断ちがたい未熟な自分。読むたびに、自分をかえりみる。そういう大切な作品です。